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ノイズ・歪みを考えた高速アンプの賢い選択法(1/3 ページ)

電圧フィードバック、電流フィードバック、バイポーラ、CMOS――どのタイプにも利害得失がある。ここでは、用途に最適なアンプを選ぶ手順を示す。

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 高速アンプはギガヘルツの壁を克服し、多くの用途で使えるようになった。市場に出ているアンプには、基本的に大きく2つの分類方法がある。プロセス(バイポーラまたはCMOS)と、フィードバック(電流または電圧)である。電流フィードバックおよび電圧フィードバックアンプはいずれも、高速アプリケーションによく使われる。それぞれのノイズ特性や、特長、限界に焦点を当ててみよう。回路構成の違いと、基本的なノイズおよび歪(ひず)みの特性を理解することが、最適な製品を選択する重要な鍵となる。

 VFA(voltage-feedback amplifiers)は、オペアンプの最も一般的な回路構成である。差動入力段と、ゲイン/レベルシフト段、出力段の3つの段階に分かれている。図1に、普及型のVFA「EL5157」の簡略化した構成図を示す。

図1「EL5157」は電圧フィードバックアンプ回路構成の例である。
図1 「EL5157」は電圧フィードバックアンプ回路構成の例である。 

 入力段では、npn差動対がpnp対と並列になっている。2段目は、プルアップ電流源で構成される。信号パストランジスタの電流に差(信号またはエラー)が生じると、それが、高インピーダンスノードにおける電流源の出力インピーダンスを通して現れる。出力段は、高インピーダンスノードと出力との間にバッファを設けている。

CFA回路構成

 CFA(current-feedback amplifiers)とVFAは、入力構造が違う。入力段には、反転入力と非反転入力の間にユニティゲインバッファがあり、それがCFA回路の顕著な特長となっている。完全相補型バイポーラプロセスが実現するまで、CFAはVFAほど利用されていなかった。幸いなことに、今日ではこのプロセスが広く普及し、CFAは、バイポーラ回路の電圧スイッチングよりも高速の電流スイッチングを実現できるようになった。

 図2のCFAでは、非反転入力のインピーダンスは高く、非反転入力と反転入力段との間にバッファが入っている(点線枠内参照)。反転入力の入力インピーダンスは非常に低く、その信号は、カレントミラーを通って高インピーダンスノードZに伝わる。高インピーダンスノードZは、バッファを通して出力される。

図2この電流フィードバックアンプでは、非反転入力はインピーダンスが高く、反転入力にはバッファがある。
図2 この電流フィードバックアンプでは、非反転入力はインピーダンスが高く、反転入力にはバッファがある。 

 このCFA構造を、もう少し高いレベルでとらえると、その長所が明らかとなる(図3)。フィードバック抵抗RFにおいて電圧差が生じると、反転入力にエラー電流が流れる。反転入力におけるインピーダンスは低いため、このフィードバックは電流となる。CFAは、別名トランスインピーダンスアンプと呼ばれる。反転入力電流の変化が、必ず出力電圧の変化を引き起こすからである。反転入力は高い過渡電流を流したり引き込んだりできるため、バイアス電流の制限を受けない。カレントミラーは必要に応じて電源から高インピーダンスノードへ電流を供給し、これがCFAの高スルーレートを実現する。回路の終段にはユニティゲインバッファがあり、フィードバックエラー電流を抑えるのに必要な出力電圧を駆動している。

図3電流フィードバックアンプは、反転入力電流が少しでも変化すると出力電圧が変化するので、トランスインピーダンスアンプとも呼ばれる。
図3 電流フィードバックアンプは、反転入力電流が少しでも変化すると出力電圧が変化するので、トランスインピーダンスアンプとも呼ばれる。 

 RFの値により、反転入力にフィードバックする電流の量が決まる。したがって、CFAのゲインを変化させる場合は図3のRGの値を調整する必要がある。また、VFAではゲインとバンド幅のトレードオフが必要であるのに対して、CFAのバンド幅はRFの値に反比例する。

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