PFC用インターリーブ型昇圧コンバータの利点(3/3 ページ)
昇圧段をインターリーブすることにより、力率補正プリレギュレータの電力変換入力および出力リップル電流を減らすことができる。これにより昇圧インダクタのサイズを小さくし、出力コンデンサの電気的ストレスを低減できる。
実験結果
L1、L2、および入力電流に対して200μHのインダクタを用いた2相インターリーブ型昇圧コンバータの評価を行った。インダクタリップル電流が最大となるのは、コンバータがピークライン電圧において低い入力電圧で動作する場合である。
図7は、入力85Vrmsの場合のL1およびL2のインダクタ電流を示している。Ch1は整流ライン電圧、Ch2はL1のインダクタ電流、Ch3はL2のインダクタ電流、Ch4は入力電流である。電流変換比率は約4A/目盛である。
図8(a)および図8(b)は、負荷が最大の場合の入力ライン電流およびインダクタリップル電流を示す。両者のオシロスコープ画面のチャンネルは、図7と同様である。図8から、Ch4のきれいな入力電流波形がはっきりと見てとれる。この2相のインターリーブPFC設計では、220μFの出力コンデンサを使用している。単一段の350W PFCプリレギュレータでは、最大負荷における出力コンデンサリップルは約33.5Vである。2相のインターリーブPFCでは、出力リップルは単一段の場合の半分よりも小さくなるはずである。プロトタイプの最大負荷における出力リップル電圧は約13Vである(図9)。
プロトタイプが高調波電流規格EN 61000-3-2を満たすかどうかを調べるには、プロトタイプの入力高調波の最大負荷における電力を測定する必要がある。最初の高調波は60HzにおけるRMS入力電流である。それ以外の高調波は、十分にCH61000-3-2クラスD規格の範囲内にある(図10)。
PFCプリレギュレータのインターリーブにより、電源設計におけるインダクタの値を低く抑えることができる。コンバータの入力におけるインダクタリップル電流の打ち消しあいにより、インダクタの値を約半分にして設計することが可能となる。また、インターリーブにより、昇圧コンデンサのリップル電流も小さくなり、出力コンデンサの電気的ストレスが緩和される。フィルタリングを施していないプロトタイプ回路において、この設計がEN61000-3-2クラスDを満たすことを確認した。部品数が増加すると制御スキームは多少複雑になるが、それでも高電力の用途では、有用であると考えられる。
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