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3つのノイズ源、その探索と各対策Baker's Best

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 回路にノイズが生じている。どこを調べたらよいのか。ノイズ源はどこだと思うか。ノイズは、基本的にデバイスノイズ、放射ノイズ、伝導ノイズの3つに分類され、それぞれに対応したノイズ対策がある。どの分類のノイズかがわかれば、ノイズ対策方法が直ちに明らかになる。

 デバイスノイズは、その名の通り、受動部品とICチップによって生じるノイズだ。例えば、受動部品の抵抗や、LSIチップに集積されている抵抗は、最小で√4×k×R×T×(BW)に相当するノイズを生成する。ここで、kはボルツマン定数(1.38×10−23J/K)、Rは測定対象の抵抗値、Tは絶対温度、BWは測定時の帯域幅である。一般的に、コンデンサとコイルは、スイッチング回路に組み込まない限り、ノイズ源となることはない。また、LSIチップが発生するノイズ量は、製品のデータシートを調べればすぐにわかる。抵抗値を減らしたり、低ノイズのLSIチップを使用することにより、回路におけるデバイスノイズは簡単に削減することができる。

 ノイズの原因を探している場合、次に調べるのは放射ノイズの発生源である。インダクション・スイッチングトランスやモーターなどの放射源がノイズを発生している可能性は高い。もう1つ、見落としがちだがこの種のノイズ源となるのは、プリント基板上でアナログ配線とスイッチングするデジタル配線が近くに配置されている部分である。配線が輪になっている部分や接地ループがあったり、アンテナとなってしまっている部分があると、この種のノイズは回路内に蓄積してしまう。放射ノイズ源について理解すれば、そのノイズを削減する方法は明らかとなる。例えば、アナログ配線とデジタル配線の間の距離を広げればよい。また、インダクション・スイッチング部品の向きを変えて、影響を受けやすい回路部分とは異なる方向に磁界を放射させる。最も重要な対策としては、プリント基板に常に連続したグラウンド面を必ず設けることである。

ノイズ源が見つかれば、デバイスノイズであっても放射ノイズであっても、システムにノイズ削減手法を適用して、回路のノイズを許容可能なレベルにまで抑えることができる。

 あらゆるノイズ予防策を講じても、まだノイズは発生するだろう。回路の抵抗値を減らしたり、低ノイズデバイスが使えない場合は、プリント基板配線に伝導ノイズが生じる。伝導ノイズは、デバイスノイズや放射ノイズが原因で配線に存在するノイズにすぎない。効率がよいためによく使用されるスイッチング電源は、伝導ノイズの主な発生源である。50Hzから60Hzのノイズがプリント基板配線に生じる場合があるが、それは、デバイスノイズにしても放射ノイズにしても生じたノイズが、伝導ノイズとなってプリント基板配線に存在する。この種のノイズへの対応策としては、ノイズ削減フィルタを実装するしか手段がない場合もある。グラウンドと電源への帰還パスをすべて調べることも大切である。ここでも、連続するグラウンド面があるとよい。また、能動デバイスには必ず適切なバイパスコンデンサを使用すべきだ。

 回路のノイズを全くゼロにしてしまうことはできない。うまく動作する回路を得るには、回路におけるノイズ源を特定することが重要である。ノイズ源が見つかれば、デバイスノイズであっても放射ノイズであっても、システムにノイズ削減手法を適用して、回路のノイズを許容可能なレベルにまで抑えることができる。予防策としては、選択するデバイスを設計段階で検討するとよい。レイアウト時には、アナログとデジタルの距離をあける、接地ループをなくす、配線をできる限り短くするなど、レイアウト時の規則を守ることが大切である。また、回路の環境における放射ノイズの影響を最小限に抑えることである。最後に、どの方法もうまく行かなかった場合には、給電線および信号線のフィルタリングによりノイズを許容レベルに抑えられる。一言注意しておくが、回路を完璧にしようと過剰性能にしてはならない。うまく動作するように回路を設計すればよいのであり、それ以上にする必要はない。

<筆者紹介>

Bonnie Baker

Bonnie Baker氏は「A Baker's Dozen: Real Analog Solutions for Digital Designers」の著書などがある。Baker氏へのご意見は、次のメールアドレスまで。bonnie@ti.com


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