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ワイヤレスセンサーによるネットワーク構築の勘所(3/3 ページ)

ワイヤレスセンサーネットワークは、ホームオートメーションから大規模な環境モニタリングシステムまでさまざまな用途に利用されている。本稿では、そうしたネットワークの構成要素であるハードウエア/ソフトウエアの設計上のポイントを示す。

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アプリケーションソフトウエア

 センサーネットワークの複雑な問題をすべて考慮し、経路選択、通信および電力管理の方法を決定したら、続いてはネットワークのアプリケーションソフトウエアを完成させなければならない。アプリケーションソフトウエアは、ハブ上のもの、ノード上のもの、ユーザーインターフェースの3つに大別することができる。

 まず、ハブ上のソフトウエアは、電池の寿命が最大となるように、ネットワークの通信レベルを管理する必要がある。

 一方、ノード上のソフトウエアは、消費電力を管理し、データの伝送を最小限に抑えるように処理を行わなければならない。つまり、このソフトウエアは、ネットワークによって重要な情報のみが送信され、それ以外は除外するように機能する必要がある。

 ノード上のソフトウエアは、ワイヤレスセンサーネットワークをクラスタベースの分散コンピューティングシステムとして扱う。このようなシステムを構築する際には、単一のアプリケーションを開発し、それをすべてのノードで並列に実行することになる。各ノードには固有の識別子を与え、その識別子を基にソフトウエアが処理アルゴリズムを適用する。この手法の利点は、プログラミング時にきちんと考察して単一のプログラムを各ノードに配備することにより、それぞれのノードに同一の柔軟性を効率的に与えられることである。

 ユーザーインターフェースは、すべての情報を収集し、それをユーザーが直感的に理解できる形で表示できるように作成する。そのようなソフトウエアを開発する方法の1つに、ワイヤレスセンサーをオシロスコープやデジタルマルチメーターのような機器と同様に扱う方法がある。この方法であれば、開発者になじみが深くやりやすい方法でネットワークとやりとりすることにより、アプリケーション開発の複雑さを抽象化することができる。ワイヤレスセンサーネットワーク業界における主要なメーカーは、ソフトウエア開発環境に対するドライバインターフェースを提供することにより、この要求に対応している(別掲記事『ソフトウエア開発環境の一例』を参照)。

ソフトウエア開発環境の一例

 National Instruments(NI)社の「Lab VIEW」は、計測業界で長く利用されてきた開発環境である。これを用いることにより、計測/制御用のハードウエアと迅速かつ効率良くデータのやりとりを行い、システムを構築することができる。このLabVIEWは、ワイヤレスセンサーネットワークの構築にも利用できる(図A)。

図A ワイヤレスセンサーネットワークとLabVIEWの関係
図A ワイヤレスセンサーネットワークとLabVIEWの関係 LabVIEWは、ワイヤレスセンサーネットワーク向けに、統一されたアプリケーション開発環境を提供する。

 米Crossbow Technology社、米Accutech社、米Accsense社などのワイヤレスセンサーベンダーは、NI社と提携し、それぞれのワイヤレスセンサーを用いたネットワークと接続してプログラミングを行うためのLabVIEW対応のドライバを開発している。そのドライバにより、LabVIEWユーザーは、最小限の学習期間でワイヤレスセンサーネットワークで用いるプログラムを開発することができる。

 図Bは、LabVIEWが提供するユーザーインターフェースの例である。これは、2つのプログラムから成るブロック図を表している。下部のプログラムは、NI社のドライバソフトウエア「DAQmx」を用いて記述されたもので、有線のデータ取得デバイスからデータを取得する。一方、上部のプログラムは、Crossbow社のワイヤレスセンサーノードから温度を読み取るものである。2つのプログラムはまったく別のハードウエア技術に関連するものだが、どちらも類似の見た目で表示されるように、ユーザーインターフェースが設計されている。

図B ソフトウエア開発用のユーザーインターフェース
図B ソフトウエア開発用のユーザーインターフェース

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