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コンデンサの選び方オーディオ品質を高めるための(4/4 ページ)

オーディオ回路の設計に当たっては、カップリングコンデンサの選択に気を配らなければならない。この選択を誤ると、音質の劣化を招いてしまうのだ。従って、設計者はコンデンサの各種性質が音質にどのように作用するのかを知っておく必要がある。本稿では、筆者が「Windows Vista」への適合認定を受けるために行った、パソコンのオーディオ回路設計を例にとり、コンデンサの正しい選び方を説明する。

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容量値の計測方法

 本編で示した通り、コンデンサに印加される電圧が変化すると、容量値も変化する。ここでは、容量値の計測方法や計測時の注意点を紹介しておく。

■計測方法

 DC電圧を印加した際の容量値を測定するには、計測対象のコンデンサ(CDUT)と1.5kΩの抵抗(公差±1%)を直列に接続する(図A)。この回路によりローパスフィルタが形成されるので、ゲインが3dB低下するカットオフ周波数f3dBを計測することによって、DC電圧印加時の容量CDUTがCDUT=1/(2π Rf3dB )として求めることができる。カットオフ周波数f3dBを計測するための信号としては、例えば100mVrmsのAC信号をDC電圧に重畳したものを用いることになる。

図A DC電圧印加時の容量値を計測する回路モデル
図A DC電圧印加時の容量値を計測する回路モデル  測定は、DC電源と100mVrmsのAC信号源、抵抗、計測対象コンデンサなどを直列に接続して行う。

 図Bは、上述した条件で測定した結果の例である。この例は、印加DC電圧を0〜定格電圧の範囲で1Vごとに増加した場合におけるf3dBの計測結果を示している。これらのf3dBの計測結果から求めたCDUTの値を表Aに示す。

図B 図Aの回路における周波数特性の測定結果
図B 図Aの回路における周波数特性の測定結果  DC電圧を0〜10Vの範囲で1Vずつ変化させた場合の周波数応答を示している。例えば、1kHzの信号の振幅を0dBとすると、周波数100Hzの信号はDC電圧を印加しない場合には4dB降下するが、10Vを印加すると8dB降下する。
表A DC電圧の印加による電流変化率の測定結果
表A DC電圧の印加による電流変化率の測定結果  容量変化率は0V印加時を基準にしている。

 AC電圧の印加によるコンデンサの容量変化は、図Aの回路モデルからDC電源を省くことで計測が可能である(図C)。

図C AC電圧印加時の容量値を計測する回路モデル
図C AC電圧印加時の容量値を計測する回路モデル  可変AC信号源と固定抵抗、計測対象コンデンサを直列に接続する。

■計測時の注意点

 計測時の注意点を以下に挙げる。まず、直列抵抗Rを信号源出力インピーダンスに対し十分高くする必要がある。信号源としてAP社製信号発生器を使用する場合には、信号源の出力インピーダンスは40Ωである。

 次に、f3dBを100Hz近辺になるようにすると印加DC電圧の影響が最も顕著に現れるので試験が容易になる。−3dB周波数を20Hzにするのは、AP社製オーディオアナライザの計測範囲が10Hz以上なので適切ではない。


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