HDDベンチマークでeSATAの実力を探る:実践リポート(5/5 ページ)
eSATAインターフェースは、理論上は非常に高速だが、実際に高いパフォーマンスを得るには膨大な開発コストが必要となる。次世代の機器設計では、このeSATAを採用し、コスト増を覚悟すべきなのか。それとも従来のインターフェースで満足すべきなのだろうか。これについて、筆者はさまざまなベンチマークテストを行うことで検証を試みた。本稿では、その概要を報告する。
残された課題
本稿を印刷に回す直前に、Windows XP SP2が少なくとも当初はFireWire 400/800を100メガビット/秒でしかサポートしていなかったことを思い出した*4)。このエラーは後にWindows UpdateによるOSパッチで修復された。ベンチマークテストの結果からは、USB 2.0よりもFireWire 400がパフォーマンス面で優れ、FireWire 400よりもFireWire 800が上回っていることが判明した。しかし、ウェブで調査してみても、FireWire 400/800の能力を完全に発揮させるためにWindowsのホットフィックスをインストールする必要があるのかどうかについては、要領を得ない情報しか得られなかった。この件に関してMicrosoft社から明確な説明が得られたら、必要に応じてOneTouch IIIでFireWire 400とFireWire 800のテストを実施するつもりだ。
また、マザーボード上の1レーンPCIeを備えたSiI3531とSV2000のテストはもう一度実施する予定である。今回はCPU(FX-74)で処理するハードディスク管理ではなく、SV2000のストレージプロセッサSiI4726を使用している。しかし、次は8レーンPCIeを備えたえSATAアドインカードを使ってソフトウエアとハードウエアによるRAID構成でSV2000をテストしたいと考えている。特にストライプでのSV2000のパフォーマンスには目を見張るものがあり、それは1レーンPCIeトランシーバに接続した場合でも変わらない。もし8レーンPCIeで接続することが可能であれば、どれほど速くなるのかと期待している。
eSATAに対応する外部ストレージデバイスといえば、図2(d)と表3で紹介している米Applied Micro Circuits Corporation(AMCC)社の「3ware Sidecar」が興味深い。4レーンPCIeにネイティブで対応する同社の「9650SE-4LPML」を搭載しており、非常に高速だという。前述した課題を終えたら、この製品にも注目してみたいと考えている。
ベンチマークソフトウエアにも問題があった。SiSoftware社のSilasi氏は、筆者のお粗末なテスト結果を見て、「物理ディスクテストのベンチマーク方法をアップデートしなくてはならない」と思ったそうだ。同氏は「ベンチマークテストのたびにオフセットを追加するように改善するつもりだ。いつもA、B、C、Dと固定されたセクターを読み込むのではなく、2回目のテストではA+α、B+α、C+αと読み込むようにする。それによって初回のベンチマークテストと次のテストのシーケンスが異なることになる。同様に3回目の実行でも再びパターンが変更されるようにすることを検討している」と述べている。筆者は、同氏らがアップデートを終えたらベンチマークを再び実行することを約束した。何らかの改善点が見られたら、同氏と読者に報告するつもりだ。
最後に、4つのHDDを7200rpmから1万rpmのRaptorドライブに交換してテストを再実行し、Western Digital社のSAS(serial-attached SCSI)デーモンと組み合わせてどれほど速度が上がるのかを評価したいと考えている。
脚注:
※4…http://support.microsoft.com/kb/885222
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