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ホームオートメーションを支えるネットワーク技術電力線通信とRF通信の実用性を探る(5/5 ページ)

ホームオートメーションを構築するためのネットワークシステムが、新たな展開を見せている。インテリジェント住宅の実現に向けて、新しい技術や標準の通信規格、ネットワーク機能が集約された民生電子機器が登場してきたからだ。本稿では、電力線通信とワイヤレス/RF通信に着目し、ホームオートメーションにおけるこれらの実用性を探る。

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三角測量で人の位置を検出

 上述したように標準化は進んできているが、開発者は、規格が要求するものと業界団体が提供する認定のレベルを調査し、それらが自分の設計に適切であるかどうかを確認する必要がある。例えば、ZigBeeの場合にはいくつかの規格が存在し、すべてがホームネットワーク用途における相互運用性を保証するわけではない。ZigBeeプロトコルは、IEEE 802.15.4規格の上層に位置し、アプリケーションソフトウエアはさらにプロトコルスタックの上層に位置する(図4)。ZigBeeプラットフォームの認証は、規格に準拠する機器がネットワーク上において相互運用できることを保証するが、そのアプリケーションについては何も規定していない。メーカー固有のプラットフォームの認証では、機器がその他のZigBee機器に干渉しないことは保証するが、アプリケーションレベルの相互運用性については保証しない。消費者が要求する相互運用性を保証するには、機器は、ホームネットワークなど特定用途に対するパブリックプロファイルの認証を得る必要がある。

図4 ZigBeeアライアンスが定義するレベル
図4 ZigBeeアライアンスが定義するレベル ZigBee対応機器では、互換性に多くの意味がある。同規格は、無線とスタックのみ、カスタムアプリケーションソフトウエア搭載機器、パブリックアプリケーションプロファイル準拠製品という3つの異なるレベルを定義している(提供:ZigBeeアライアンス)。

 あいまいな部分や競合する複数の規格が存在する状態ではあるが、この分野はインテリジェント住宅という野望の一部実現に向けて準備が整いつつある。通信手段を選ぶことにより、柔軟性やコスト面での選択肢が増える。データ通信速度は、エンターテインメントのコンテンツやデータの配信、ネットワーク上の制御には十分なほど高速となっている。RF通信を用いたシステムでは信号強度を利用して三角測量を行うことにより、人が部屋に入る前に照明をつけたり、部屋を離れた後に照明を消したり、人の動きに合わせて音楽を流す部屋を変えたりするなど、人の位置を検出して、それに対応した動作が行える。また市場に出回るHAシステムの多くが、システムの遠隔操作や、コンテンツのダウンロードを可能とするためにインターネットへの接続機能を備えている。

キラーアプリは「省エネ」か?

 消費者の視点に立つと、HAシステムの可能性は非常に興味深く感じられるが、それらは調味料のソースのような存在でしかなく、それだけでは市場を創出できない。HAシステムが広く普及するために必要なものは、ソースをかけるためのメインディッシュ、つまり主要なアプリケーションである。

 市場創出につながるようなアプリケーションが、出現しつつあるかもしれない。米カリフォルニア州南部とテキサス州の電力会社は、家庭における電力の負荷制御や、需要に基づいた価格の設定をZigBeeなどの技術を使って行おうと考えている。メーターから家庭内までをZigBeeで接続することにより、消費者にエネルギ消費量とコストに関するリアルタイムな情報を提供するとともに、遠隔からサーモスタットを操作したり、水道やプールのヒーターを切ったりすることによりユーザーの電力消費を調整したいのだという。

 エネルギコストが高騰し続ける中、上述のようなHA技術を活用したシステムが注目を浴び、必須となるかもしれない。それは居住者の生活や好みに適応するインテリジェントな住宅よりも、控えめで地味なものかもしれない。しかし、家庭への浸透を図りたいHA業界にとって、省エネルギの実現手段としての需要こそが必要なものかもしれない。そこから、民生機器向けの要件を満たす最適なネットワークへと発展していく可能性が高い。

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