携帯電話機向けSERDESの設計(4/5 ページ)
われわれFairchild Semiconductor社の設計チームは、ノート型パソコン用のSERDESを設計した経験を基に、携帯電話機向けSERDESの開発を行った。そのプロジェクトを通して、システムに最適なチップを開発するためのアプローチに関する貴重な知識を得ることができた。本稿では、その概要を紹介したい。
設計上のトレードオフ
ここまでに説明した内容により、携帯電話機向けSERDESを提供する上でのすべての障害が取り除かれた。完成した製品は顧客の要求を満たしており、消費電力、EMI、感度の面で優れた性能を実現し、マイクロコントローラインターフェースやピクセルインターフェースに利用可能であった。
第1世代の製品(図2)には、いくつか設計上のトレードオフがあった。次ページの表2にその中でも最も重要な項目を挙げる。消費電力、サイズ、コストは、いずれも携帯電話機の設計においては非常に重要な要素である。
このプロジェクトで最も残念だったのは、μSerDesペアを1つだけ用いた半2重通信という最初の構想が、システムレベルで実装するには煩雑すぎたことと、読み出し処理が期待通りには動作しなかったことである。
設計段階で顧客と密接に意見交換するというアプローチをとっていたことから、われわれは製造の承認を得てすぐに製品の出荷を開始することができた。カメラ、液晶ディスプレイ、そして特殊用途向け製品に対応するために3種の製品を開発した。12ビットのチップは、基本的には8ビットのピクセルインターフェースを持つカメラ向けの製品である。このチップは液晶ディスプレイの8ビットピクセルインターフェースにも用いられた。2つ目は、一般的な16/18ビット液晶ディスプレイのピクセルインターフェース向けである。3つ目はマイクロコントローラ用であった。
SERDESは携帯電話機の設計者にとっては新しい概念であったため、われわれは動作モードに関する詳細なアプリケーションノートを作成し、テストを簡便にするために評価ボード(カード)を提供した。これまでの携帯電話機向け技術とはかなり異なるこの技術の実装作業をさらに容易にするため、また、スケジュールが非常に厳しかったことから、アプリケーションにおけるμSerDesの使用方法を示す接続図も提供した。われわれのアプリケーショングループは顧客から複数の携帯電話機を入手してそれらを分解し、μSerDesペアを挿入してその動作を実際に示した。
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