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ソレノイドを使いこなす(5/5 ページ)

ソレノイドを利用したシステムを構成するには、その特性を十分に理解するとともに、どのような制御回路方式を採用すべきかを熟慮しなければならない。本稿では、閉ループの電流制御方式を用いた設計の例を具体的に示す。

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スイッチングノイズ対策

 電流制御ループはスイッチングシステムである。そのため、ノイズの発生は避けられない。ノイズによりシステムの動作が著しく劣化しないようにするには、スイッチング電流の経路をノイズ耐性の低い回路から遠ざけるしかない。こうした基板設計に関しては、稿末の参考文献*3)などが参考になる。

 また、MOS FETからコンデンサとダイオードに至る信号パターンをできるだけ短くし、MOS FETに直列に抵抗を挿入してスイッチングの遷移をなまらせることが重要だ。その際、0Ωの直列抵抗を挿入しておけば、MOS FETにおける帯域調整に利用できる。

 信号パターン層は、ベタグラウンド層に隣接させる。ソース電流とシンク電流に対応するパターンは極力広くし、両パターンをコネクタに至る全長にわたって上下に対向させるのが最善である。コネクタからソレノイドまでの間にはシールドしたツイストペア線を使用する。

 負荷抵抗を計算するときには、ケーブルでの電圧降下を考慮しなければならない。肝心なのは、ソレノイドへの電流経路を低インピーダンスとし、最短距離にすることだ。

開ループ制御の使いどころ

 ソレノイドはインダクタンス性の負荷であり、この種の負荷は電流により制御される。従って、ソレノイドの駆動には、電流制御ループの使用が最善策だといえる。しかしながら、電流制御ループには多数の部品が必要になるため、実装スペースが大きくなる。実装面積が十分に許容されるならば、電流制御によるものがソレノイドを正確に制御するための唯一の方法である。制御ループにPLD(programmable logic device)を活用すれば、部品点数の削減が可能だ。

 どのような制御系を使用すべきかは、システムの要求条件によって決まる。本稿で例示したコントローラは簡単な構成であり、実装面積も2インチ角程度で済む。しかし、電流容量が増加すれば実装面積も増加する。ソレノイドが正確に動作するかどうかよりも実装面積のほうが重要な課題の場合には、開ループ電圧制御が選択肢となるだろう。


脚注

※3…Johnson, Howard, PhD, and M Graham, High-Speed Signal Propagation, 2003, Prentice Hall, ISBN 013084408X.


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