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動き始めたIEEE 802.11nドラフト2.0に見る、その現状と課題(3/3 ページ)

IEEE 802.11nは従来の数倍の性能を実現する新たなWi-Fi規格として大きな期待を集めている。不安視されていた仕様策定プロセスの完了が近づき、同規格がついに始動する。

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WFAの認定プログラム

 WFAは、802.11nドラフト2.0認定プログラムの第1段階として、ドラフト2.0の必須項目のほとんどに密接に関連する機能セットを定義した。同プログラムでは、オプション項目の一部についても、それが機器に実装されているなら試験を行うことになっている。

 現時点では2008年夏を目標とする第2段階では、仕様に含めることが検討されているいくつかのオプション項目も試験の対象となる。WFAは、それらの機能をどのように分類するかについてはまだ決定していない。1つの可能性として考えられるのは、プロファイルコンセプトと呼ばれるものを適用することだ。例えばパソコンやデータを中心として扱う機器向け、ビデオやオーディオストリーミングを必要とする民生機器向け、音声/VoIP/電話機能を必要とする携帯機器向けにそれぞれ1セットというように、機器の種類ごとの要求に対応する機能セットを設けるのである。WFAのHanzlik氏は、「この分類法によれば、用途に応じて必須項目とどのオプション項目を組み合わせるべきなのかがよく分かる」と述べる。

対応ICの動向

 アクセスポイントまたはクライアント機器での使用をターゲットとするのか、それとも企業または消費者向け機器での使用をターゲットとするのかによって、利用可能な802.11n対応チップセットは異なる。性能にも違いがあり、MIMO構成もさまざまだ。一般に、802.11n対応チップセットは、CMOSのベースバンドMACエンジン、それとは独立したCMOSの無線ブロック、外付けのパワーアンプから構成される。

 802.11n対応のCMOSシングルチップは、2008年中にも登場するだろう。米Broadcom社の802.11n製品担当シニア製品ラインマネジャであるKevin Mukai氏は、「Wi-Fi(802.11a/b/g)向けのCMOS SoC(systems on chip)はすでに存在する」と語る。そのSoCは、1つのRF信号チェーンしか含まない。それに対し、802.11nでは複数のRF信号チェーンが必要になる。そのため、802.11n対応製品をシングルチップで実現するのはより困難になるものと考えられる。


脚注:

※1…IEEE P802.11 Task Group N, Meeting Update, http://grouper.ieee.org/groups/802/11/Reports/tgn_update.htm.

※2…"Wi-Fi Certified 802.11n draft 2.0: Longer-Range, Faster-Throughput, Multimedia-Grade Wi-Fi Networks," Wi-Fi Alliance, 2007, http://www.wi-fi.org/files/kc/WFA_802_11n_Industry_June07.pdf.

※3…"Wi-Fi Certified makes it Wi-Fi: An Overview of the Wi-Fi Alliance Approach to Certification," Wi-Fi Alliance, September 2006, http://www.wi-fi.org/files/wp_16_Overview_WFA_Certification_09282006_2.pdf.

※4…Wi-Fi Certified Products, Wi-Fi Alliance, http://certifications.wi-fi.org/wbcs_certified_products.php?lang5en.

※5…"802.11n: Next-Generation Wireless LAN Technology," Broadcom, April 2006, http://www.broadcom.com/docs/WLAN/802_11n-WP100-R.pdf.


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