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USB充電器の設計技法新規格の概要と設計上の要点を知る(2/3 ページ)

USBは、その当初からのデータ転送の用途だけでなく、携帯電話機の充電用途にも用いられるようになった。こうした動きを受け、最近になって、USBの利用を拡大しようとする新たな規格がいくつか制定された。その結果、充電用途の設計が簡潔に行えるようになってきている。本稿では、充電用途のUSB新規格と、それに従った充電器の構成例を紹介する。

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充電器の検知

 上述したUSBの新標準/規格に対応した携帯型機器を設計する際には注意すべきことがある。それは、接続された相手が単なるUSBホスト/ハブであるのか、新規格に対応した充電器であるのかを検知する機能が要求されることである。この検知が重要な要素である理由は2つある。1つは、Battery Charging 1.0に規定された充電器のタイプや、中国通信規格に対応した充電専用器など、機器の種類によって電流の供給能力が大きく異なることである。もう1つは、これらの規格に則した機器の機構的構造が、USB 2.0をベースとした機器と同等であることだ。

 これらの要因の背景にあるのは、どの新標準規格においてもコネクタの外形がUSBタイプAのコネクタと同じになる見通しであることだ。例えば、携帯型機器を一般のUSBポートに接続する場合、その端末はUSB 2.0規格に完全に適合していなければならない。つまり、まずはUSB 2.0の規格に沿って充電を行うことになり、端末側の充電制御ICは初期の入力電流を100mA以下に抑え、USBホストかUSBハブと通信を行う。その後、USB 2.0に対応した機器であることが判明してから、入力電流を500mAにするといった電流制御を行う必要がある。

 一方、中国通信規格やBattery Charging 1.0で規定された充電器に接続された場合、規格で定められた大電流で直ちに充電を開始することが要求されることになる。

USB充電器の検知方式

 USB機器の種類を検知しなければならないことはご理解いただけたと思うが、具体的にはどのような方法をとればよいのだろうか。幸いなことに、中国通信規格におけるウォールチャージャとUSB-IFの新規格における専用充電器のいずれにおいても、D+/D−端子間を内部的に短絡し、さらにフローティング状態にすることと規定されている。従って、それを検出すればよいのだ。

 この検出の方法については、中国通信規格では触れられていない。一方、USB-IFのBattery Charging 1.0においては、その方法が紹介されている。その方法とは、実際にその間の導通を検出するというものである。対象とするポートが充電器であるかどうかは図3に示した簡単な構成により検知できるだろう。

 もし、対象とするポートのD+/D−端子間が図4のように短絡されていなければ、ほとんどの場合、そのポートはパソコンなどの一般的なUSBポートであると判断することが可能だ。従って、USB 2.0の500mAの出力電流で充電することになる。

図3 USB充電専用器の検知回路の構成例
図3 USB充電専用器の検知回路の構成例  充電専用器では、USBコネクタのD+端子とD−端子の間が短絡されている。
図4 USB 2.0におけるUSBホスト/ハブの回路構成
図4 USB 2.0におけるUSBホスト/ハブの回路構成  従来のUSB 2.0規格では、D+/D−端子は短絡とせず、15kΩの抵抗をグラウンドとの間に挿入することになっている。

 最も単純な検知方法は、上記のように導通を調べることである。ただしこの方法では、Battery Charging 1.0で規定されているホストチャージャ/ハブチャージャを検知することはできない。これは、ホストチャージャ/ハブチャージャでは、データ転送も行うのでD+/D−端子が短絡されていないからだ。その代わりに、ホストチャージャ/ハブチャージャについては、D+端子に0.5V〜0.7Vの電圧を印加した場合、D−端子に0.5V〜0.7Vの電圧を出力するように規定されている。この規定を基に、ホストチャージャ/ハブチャージャの判定を行うことになる。

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