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加速する計装機能のオンチップ化複雑化が増すSoCに対応するために(3/3 ページ)

システムのオンチップ化の進展は、IC製造後のプロセスにも変化をもたらした。より規模が大きく、より複雑なSoCには、システム本来の機能だけでなく、そのチップあるいはシステムを評価/デバッグ/校正するための計装機能までもが搭載され始めているのだ。この計装機能を利用することにより、そうした一連の作業を簡素化することが可能になる。

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MEMS加速度センサーのオンチップ計装

図A MEMSベースの加速度センサー
図A MEMSベースの加速度センサー AnalogDevices社の「ADXL202」のチップ写真。このようなMEMSベースの加速度センサーには、テストや校正のために、オンチップの計装機能が必要となる。

 MEMS(micro electro mechanical system)ベースの加速度センサーは、高精度、低消費電力で、コストも抑えられるという利点を持つ。こうした特徴から、同センサーはさまざまな分野に革命をもたらしている。自動車のエアバッグ用ヒューズや、コンピュータ機器の入力デバイスで用いられる動き/姿勢センサー、自動車の姿勢制御システムは、すでに量産が行われている応用例である。

 加速度センサーには、差動構成のコンデンサが用いられることが多い。チップ上に構成されたバネに一端(プレート)が接続されたコンデンサを用い、加速によって、2つのコンデンサの相対容量が変化したら、それを基に加速度を求める仕組みだ。このような構造を適切に設計/実装すれば、感度が高く、正確で、耐久性に優れるセンサーとすることができる。ただし、それを有効に機能させるには校正が必要である。印加電圧や温度によって変化するチップの感度を校正しなければならないのだ。

 米Analog Devices社のビジネス開発マネジャであるBob Scannell氏によると、「量産数量の多い用途向けであるなら、この要件は問題にならない」という。そのセンサーを何億個も使用するのならば、センサーに接続する校正ツールを用意し、既知の条件を使って恒温槽の中でセンサーの状態を変動させるコストは、十分に回収できるからだ。しかし、量産数量の少ない用途では、オンチップ計装によってチップを校正することが重要な意味を持つ。Scannell氏は、「前もって校正しておくことが、実使用時の障害を取り除くことにつながる」と語る(図A)。

 この加速度センサーのような例では、オンチップ計装に投資する価値がある。温度センサーとマイクロコントローラをMEMSチップに搭載することにより、例えば、温度補正表をプリロードし、温度による変動分をチップ自身で稼働時に除去することが可能になる。同様に、ファームウエアを利用して電気的にシミュレーションを行い、既知の基準と出力を比較することで、簡単な合否テストなどが行える。


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