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マイコンの1本のI/O端子で2個のLEDを駆動Design Ideas

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 脚注1に示した文献では、2個のLEDを独立に駆動する方法として、マイクロコントローラ(以下、マイコン)の1本の端子(高インピーダンス入力または出力として働く)と3個の抵抗を使用する回路が紹介されている。そのアイデアには、マイコンのI/O端子が少なくて済み、回路構成も簡単になるといった優れた面がある。しかし、その回路では、2個のLEDを共にオフにしても、2mA程度の電流が流れることになり、電池を電源として使用する機器に適用するのは困難である。本稿では、この電流量の問題を改善した簡単なLED駆動回路を2種類紹介する。

 図1に示した2つの例がその回路構成である。いずれも、従来の例と同様に、マイコンの1本のI/O端子によって2個のLEDを駆動できる。回路構成に必要な部品は2個のダイオードと1個の抵抗であり、部品点数が少なく、コストを抑えられる。この回路は従来例の回路と同様に動作し、ダイオードの非線形特性、つまり印加電圧の増大に対する電流の増大が電圧の指数関数になるという特性を利用する。以下に、その動作を説明する。

図1 2個のLEDをマイコンの1本のI/O端子で駆動する回路
図1 2個のLEDをマイコンの1本のI/O端子で駆動する回路

 まず、マイコンの端子が入力として設定され、ハイインピーダンスに保たれた場合を考える。図1(a)の回路では、LEDが点灯するのに要する電圧は1.5Vであり、ダイオードは小信号用で、電圧降下が約0.6Vであるとする。この場合、双方のLEDをオンにするのに必要な電圧は理論値としては4.2Vとなる。実際には、両LEDは約4Vの電圧が加わると80μAの電流が流れて点灯が始まる。そして、電圧が4.4Vになると1mAの電流が流れて完全に点灯する。例えば、電圧を3.3Vまで下げれば両LEDはオフになり、そのときの電流はわずか2.41μAに抑えられる。

 一方、図1(b)に示すもう1つの回路は、電圧が5Vを超える場合に利用できる。図のとおりの部品を使用すると、電圧が7Vで電流が74μAという条件で両LEDの点灯が始まり、電圧が8.5Vで電流が1mAになると完全に点灯する。電圧が5VになるとLEDはオフになり、電流は1.53μAとなる。

 LEDの点灯を制御するには、マイコンのI/O端子を出力に設定する。つまり、出力をハイにすると下側のLEDが点灯し、ローにすると上側のLEDが点灯する。両方のLEDが点灯した状態に見えるようにするには、I/O端子の出力を50Hz以上の周波数でハイとローに切り替えればよい。

 図1(a)の回路に使用する抵抗値Rは、次の式により計算できる。

 一方、図1(b)の回路に使用する抵抗値Rは次式で決まる。

 ここで、ILEDはLEDをオンにするための電流、VDはILEDの電流が流れるときのダイオードの降下電圧、VZはツェナー電圧、VLEDは電流ILEDが流れるときのLEDの降下電圧である。

 最後に、注意点を1つ挙げておく。それは、マイコンのI/O端子に中間電位が加わったときに、無駄な電流が流れないようにするために、シュミットトリガーまたはアナログ入力を使用するのが望ましいということである。


脚注

※1…Pefhany, Spehro, "Circuit Controls Two LEDs With One Microcontroller Port Pin," Electronic Design, April 1, 2002, http://electronicdesign.com/Articles/Index.cfm?AD=1&ArticleID=1683


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