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ICプロトタイピング導入のススメ(4/4 ページ)

ICの設計が複雑さを増すに連れ、開発フローの早い段階でプロトタイピングを導入する必要性が高まってきた。しかし、ICプロトタイピングに割くことのできる時間は限られており、製品化の際に致命的となりかねない潜在的な問題を効率良く確実に検出するのは、実際には困難なことである。本稿では、こうした問題を解決するために、ICプロトタイピングツールにはどのような機能が要求されるのか、そうしたツールを使いこなすにはどうすればよいのかといったことを明らかにする。

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解析

 ICプロトタイピングツールは、設計者がデータ/配線/タイミング/消費電力などの問題を特定/評価するために、総合的な解析機能を提供する必要がある。こうした解析機能は、物理レイアウト設計者が前工程の設計者(ロジック設計者)と情報交換するための手段としても重要となる。プロトタイピングツールの解析機能を利用することによって、入力データが内包する問題を検出し、配線/タイミング/電力の要件などの問題を迅速に特定して、物理レイアウト設計者とロジック設計者との間の情報交換を容易にする。プロトタイピングツールを用いれば、総合的なリポートや豊富な視覚情報によって容易に解析が行え、解析時間を短縮することが可能になる。

 また、ICプロトタイピングツールのタイミングアナライザによって、主なタイミングの問題を特定することが可能になる。タイミングアナライザのタイマーは最適化機能を備え、修正が容易なタイミングパスなどは解析の対象から外される。解析リポートとレイアウトのビューとの間で相互参照(cross-probing)が行えるなら、修正が困難なタイミングパスの構成をすぐに参照できる。この機能も、レイアウト設計者とロジック設計者との間の情報交換を容易にする。パスレイアウトとともにリポートを参照することにより、論理設計者はもれている定義や、マルチサイクルパス、フォルスパス(false path)の場所を特定することができる(図7)。

図7 解析結果の例
図7 解析結果の例 タイミング違反パスのリスト(a)から相互参照(cross-probing)することにより、プロトタイピング時のレイアウト(b)におけるパスの構造を把握することができる。

最大の効果は「開発期間の短縮」

 ICプロトタイピングと製品化時の実装には、目的に違いがある。しかし、本稿で説明したように、両者の工程は類似している。

 プロトタイピングの目的は、開発フローの早い段階で、潜在的かつ致命的な問題を検出することである。プロトタイピングの工程を迅速に完了することができれば、設計者は限られた時間内で、候補となる多くの実装を評価することが可能になる。

 プロトタイピングそのものの作業時間を短縮するためには、どこまで精度を追求するのかということとのトレードオフについて考える必要がある。ともあれ、プロトタイピングによって、限られた時間内に潜在的かつ致命的な問題を高い精度で検出することができればより効率的な実装が行え、開発期間、ひいては製品の市場投入までの時間を短縮することが可能になる。

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