電動自動車の最新技術(6/6 ページ)
映画「不都合な真実」に代表される地球温暖化問題やガソリン価格の急激な高騰により、CO2排出量の少ないエコカーへの注目が高まっている。バイオ燃料利用やクリーンディーゼルなど内燃機関関連の技術改良も進んでいるが、CO2削減に最も貢献すると期待されているのが、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車、電気自動車、燃料電池車など、電気エネルギーとモーターを使って駆動する電動自動車である。
次世代電子部品も登場
電動自動車のエネルギー効率向上に向けて、電子部品メーカーも新たな提案を行っている。
村田製作所は、車載インバータに利用できる大容量セラミックコンデンサ「EVCシリーズ」を開発した。米Vectrix社の電動バイクや、イタリアMagneti Marelli社が開発した2009年のF1マシンが使用する回生エネルギーシステム「KERS」などに採用されている(写真C)。
「電動自動車インバータの平滑化やスナバー用では、フィルムコンデンサが主流。しかし、EVCシリーズは、フィルムコンデンサと比べて体積あたりの静電容量は2倍、許容リップル電流は25Aと一桁高い。無機材料なので寿命も長い。高温駆動が期待されるSiCデバイスを使ったインバータ回路との組み合わせで考えれば、105℃上限のフィルムコンデンサよりも150℃まで駆動するセラミックコンデンサが最適になる」(同社)という。
パナソニック電工は、自動車内で電力分配を行うジャンクションボックス(J/B)に用いる車載リレーの新製品「CN-H」を開発した(写真D)。
自動車のJ/Bは、ソケットに差し込む大型のプラグイン型のリレーを使用する製品から、プリント配線板にリレーを実装して小型化/低背化を図ったスマートJ/Bへの移行が進んでいる。同社が新開発したのは、エンジンスタータやシートヒーターなど重負荷に対応する定格電流30Aのタイプで、プリント配線板への実装が可能な挿入型。プラグイン型の従来品に比べ、部品高さを28%削減となる18mmまで小型化した。
「J/Bは一般乗用車で2個くらい入っているが、電動自動車の普及が進めば従来エンジン動力で動かしていた部品をモーターで駆動するために、J/Bへの機能要求も拡大する。CN-Hをはじめ、中容量以上の車載リレーの需要も拡大する可能性がある」(同社)という。
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