“高画質スリム一眼”を実現する マイクロフォーサーズ:いまさら聞けないデジタル家電の仕組みを解説(1/2 ページ)
レンズ交換式のデジタル一眼レフカメラには、デジタル技術の特性を最大限生かすために策定された“フォーサーズシステム(以下、フォーサーズ)”という規格があります。今回は、それについて解説します。
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デジタル一眼の新規格、マイクロフォーサーズとは
レンズ交換式のデジタル一眼レフカメラには、デジタル技術の特性を最大限生かすために策定された“フォーサーズシステム(以下、フォーサーズ)”という規格があります。マイクロフォーサーズシステム(以下、マイクロフォーサーズ)は、フォーサーズシステムの拡張規格として、2008年8月5日、オリンパスイメージングとパナソニックにより策定されました。
デジタル専用設計のフォーサーズが策定されたことで、デジタル一眼レフカメラの大きさはここ数年でかなり小さくなったんだよ。“フォーサーズ”という名前の由来でもある4分の3型イメージセンサーは、対角長が35mmフィルムの半分だから、同じ画角を得るための焦点距離が半分で済むんだ。でも、そんなフォーサーズでさえまだコンパクトデジカメに比べると“大きい”“重い”“取り扱いが難しい”という意見もあるけどね。
うん、その意見分かるかも。なんか、一見大きくてかっこいいけど持ち歩くの大変そうだし、レンズ交換とかも大変だろうなーと思う。じゃあマイクロフォーサーズって、そうしたデジタル一眼レフカメラのイメージを取り払うために生まれた規格ってこと?
うん、狙いとしてはそうだね。マイクロフォーサーズは、ポケットにも入るような“小型”、女性でも手軽に使えるような“軽量”、そして昨今の市場ニーズに応えた“動画対応”など、将来への拡張性をコンセプトにしてるんだ。
でも、小型・軽量化したことで、デジタル一眼カメラらしい、画質の良さは失われないの? 小さくて軽いだけじゃヤダよーっ!
さっきまで何も知らなかったのに、我がままいうな!! そして、我慢しろ!! ……といいたいところだけど、大丈夫。この小型化は、デジタル写真に最適化されたフォーサーズという規格の、優れた基本設計から派生したものだから、デジタル一眼らしい高精細な画像が失われるわけではないんだよ。
マイクロフォーサーズとフォーサーズの技術的な違いは以下の3点です。
1. マウントと撮像素子の間隔(フランジバック)を約半分に
ミラーボックスをなくし、ボディの軽量化・広角レンズの小型化を実現。ファインダーの位置を自由に配置できるようになった。
2. レンズマウントの外径を約6mm縮小
ボディとレンズを小型化した。
3. マウントの信号接点数を9ピンから11ピンに
制御ビットを増加したことで、ライブビューや動画撮影など、新しい機能を付加した際の電気信号処理を高速化する。
フォーサーズのフランジバックも、従来の一眼レフに比べたら短い方だったけど、割と余裕を持たせた設計だった。これは、光線が真っすぐ撮像素子に当たるような設計――つまりテレセントリック性を重視しているからなんだ。
従来のフイルムカメラは、光線がどのような角度で入っても、光線の量さえあれば光をきちんと吸収し、それを画像に表現できました。しかし、CCDやCMOSといったデジタルカメラの撮像素子は、センサーの中心部から周辺部まで光線が直線(垂直)に入らないと、安定した画質を得ることができません。デジタル専用設計のフォーサーズではこのテレセントリック性を確保するため、撮像素子の大きさに対してマウンド径やフランジバックはかなり余裕を持たせた設計となっています。
うーんと、じゃあマイクロフォーサーズは、レンズマウント径やフランジバックなどで余裕のある設計を行っていたフォーサーズだからこそ、小型化できたってことかな?
そうそう! 撮像素子のサイズは同じだしね。あ、でもフォーサーズに合った“設計の余裕”は、より高画質な絵を目指して余裕を持せたのであって、決して無駄な余裕じゃないからね。それと、テレセントリック性に関しては、マイクロフォーサーズでもしっかりと継承されているんだよ。
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