超小型プロジェクターを作り出すDLP技術とは:いまさら聞けないデジタル家電の仕組みを解説(2/2 ページ)
今回は、光をデジタル制御する技術、DLP(Digital Light Processing)について解説します。
DLP技術の強み(つづき)
ここからは、以下3つの疑問を基に、DLP技術の強みを紹介します。
- どうして小型化できるの?
DLPだと、どうして小型軽量化できるの?
それはさっきもいったけど、もともとの仕組みがとってもシンプルだからだよ。それと最近では、ランプの代わりにLEDを採用したものも出ていて、僕の持っているポケットサイズのプロジェクターもその一例だよ。LEDは小型で省電力、そして発熱が少ないから、ランプの熱対策で使っていたファンなどが不要だし、小型化にとても適しているんだ。
LEDを採用したDLPプロジェクターは、小型化できるだけでなく、豊かな色再現性を誇るため、より滑らかで高画質な映像を映し出すことができます。2008年11月11日にOptoma(オプトマ)から発売された小型DLPプロジェクター「pocket projector PK101」のように、今後も多くのポケットサイズプロジェクター製品化が期待されます。
- 動画に強い理由とは?
DLPは何たって動画に強い。光の利用効率を示す「開口率」が高くて、しかも1秒間に5000回の高速制御だから、滑らかな映像を映すことができるんだ。
DLPチップ上のマイクロミラーは、1つ1つのミラーのすき間が狭いので、開口率90%以上と光の利用効率が非常に高くなっています。それにより、チップに光を当てたときの光ロスが少なく、応答速度の速い滑らかな映像を映し出すことができます。
いま、さらっと話しちゃったけど、開口率の高さは重要なんだよ。例えば、明るい部屋で投影するには、画面は明るい方がいいでしょ? その輝度を確保するには光源から出る光をいかに有効活用できるかに掛かっている。小さい光源を使う小型プロジェクターも、同じ理由で、開口率が画質にかかわってくるんだ。
ふぅーん。開口率がいいのは何で?
仕組みのシンプルさからくる特性だね。冒頭でいったとおり、DMDにはほぼすき間なくミラーを敷き詰めてあるから、光を漏らすことなく効率よく使えるんだよ。
- コントラストが高いと何がいいの?
DLPチップは、白と黒をミラーのONとOFFで表現しているから、OFFにしてしまえば、真っ黒も表現できるんだ。映画館でも使われているんだよ。
DLP技術は、マスターのデジタルデータの品質を損なうことなく表示できるフルデジタル方式が評価され、「DLP Cinema」として映画のデジタル上映にも採用されています。
DLP Cinemaは、TIがハリウッドの映画会社と協力して映画上映のための技術として開発しました。DLP Cinemaを採用した映画館は世界中に広がっています。上映が進むにつれ映像が劣化してくる従来のフィルム方式に比べて、DLP Cinemaはいつまでも封切りしたての鮮やかな映像が楽しめるのが特徴です。
これまでのフィルムを利用した映画は、映写による経時劣化で公開初日と最終日の映りが違ったでしょ。デジタルシネマは公開日から最終日までずっと同じ映像を楽しめるんだ。映画館側からしたらフィルムのコストも掛からないし、メリットは多いよね。
今後の期待
小型プロジェクターの登場で、会社でのプレゼンも便利になりそうだね。
そうだね、出先でプレゼンすることもあるだろうし。将来的にはDLPプロジェクター搭載のミニノートPCとか、DLP技術の組み込まれた製品に期待だなぁ。映像を通じたコミュニケーションの仕方も変わってくるかもしれないね。
うんうん! 寝ながら天井に映像を映し出したり、土手で映画を見たり……いろんな人と映像を見る機会も増えるかも!
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