話題のプリウスとインサイト、搭載部品にも注目集まる:人とくるまのテクノロジー展 2009(1/2 ページ)
『人とくるまのテクノロジー展 2009』が、2009年5月20日から22日までパシフィコ横浜で開催された。来場者の注目を集めたのは、し烈な販売競争を繰り広げているハイブリッド車「プリウス」と「インサイト」、そして両車に搭載された部品である。
プリウスvs.インサイト
2009年の『人とくるまのテクノロジー展』において注目を集めたのは、やはり電動自動車をはじめとしたエコカーに関する最新技術の展示である。特に、会場で常に人だかりができていたのが、トヨタ自動車の「プリウス」(写真1)と本田技研工業の「インサイト」(写真2)、2台の新型ハイブリッド車の展示だ。
3代目となるプリウスの価格は、2代目と比べて20万円以上安い205万円からに設定された。発売前の時点で、すでに8万台以上を受注しているという。トヨタ自動車の展示ブースでは、プリウスの実車と、ハイブリッドシステム、パワーコントロールユニット、2次電池ユニットなどが展示された。
一方、2009年2月発表のインサイトは、189万円という価格設定でハイブリッド車市場に大きな衝撃を与えた。同年4月における登録車の国内月間販売台数で、ハイブリッド車として初めてトップに立つなど、好調な立ち上がりを示している。本田技研工業の展示ブースでは、インサイトのハイブリッドシステムをわかりやすく確認できるカットモデルを中心に据え、周辺部品の展示も行った。
プリウスを支える部品技術
プリウスとインサイトに採用された部品で、来場者の注目を集めたのが各サプライヤの展示だ。まず、プリウスに採用された部品について紹介する。
アイシン精機は、新世代シートスライド(写真3)と電動ウォータポンプ(写真4)を展示した。新世代シートスライドは、高張力鋼板の採用と構造の最適化により、シートレールの薄肉化と軽量化を実現した。レール部分の重量は、従来品に比べて22%の軽量化が図られている。また、シートをロックする機構をレールの内側に収納し、シートのスライドピッチを15mmから10mmに細分化するなどしている。
電動ウォータポンプは、エンジン冷却用とインバータ冷却用の2種類が展示された。エンジン冷却用については国内初の開発例となる。ポンプの容量は、エンジン冷却用が100l(リットル)/分、インバータ冷却用が10l/分。今後は、この10〜100l/分の間の容量で電動ウォータポンプをシリーズ展開していく方針である。
ワイヤーハーネス大手の矢崎総業は、電動自動車の高電圧系技術に関する総合展示を行った(写真5)。この展示はプリウスに採用された各種製品を1つの車台の上に集めたもの。プリウスには、2次電池ユニットを締結するバスバープレート、ジャンクションブロック、各種高電圧系のワイヤーハーネス、サービスプラグなどの同社製品が採用されている。ワイヤーハーネス以外では、子会社の矢崎計器が開発したセンターメーターとヘッドアップディスプレイを展示した(写真6)。
デンソーは、エジェクタを搭載した世界初のカーエアコンシステムを展示した(写真7)。エジェクタとは、ポンプの1種で、流体をノズルから噴流し、その噴流部の出口で発生する負圧を利用してほかの流体を吸引するというものである。同社のシステムは、エジェクタを採用することで冷媒圧縮用のコンプレッサの動力の負荷を抑えることにより、カーエアコンの消費エネルギーのほとんどを占める同コンプレッサの動力を最大25%低減する。
小糸製作所は、プリウスのオプション装備であるLEDヘッドランプを展示した(写真8)。同社は、世界で初めて量産車にLEDヘッドランプを搭載した「レクサス LS600h」に製品を供給している。今回展示したプリウスのLEDヘッドランプは、LS600hと同じくロービーム用にLEDを採用している。ただし、そのLEDモジュールは、光学系の設計を見直すなどして効率を向上した第2世代品である。「第1世代と比べて10〜20%程度効率を向上している」(同社)という。
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