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薄膜は太陽電池ビジネスの勝ち組となるか電子機器イベントレポート〜薄膜太陽電池ビジネスサミット〜(3/3 ページ)

2009年9月、欧米で好評を博した薄膜太陽電池のビジネスサミット「Thin Film Solar Summit」が日本に上陸。2〜3日の2日間、東京都港区で「Thin Film Solar Summit Japan 2009」が開催され、薄膜太陽電池の製造メーカー各社やアナリストらが講演を行った。本稿では、ホンダソルテック 数佐 明男氏と三洋電機 田中 誠氏の講演内容をお伝えする。

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薄膜太陽電池事業について

 同社は2008年4月1日に薄膜太陽電池の研究拠点として、岐阜県安八町の事業所内に「先進太陽光発電開発センター」を新設した。

 「当時は各社太陽電池の生産能力が右肩上がりに推移し、薄膜太陽電池製造への参入企業が増えるだろうと予測されていた。そうして多くの企業が増産投資を進める中、われわれはあえてもう一度技術開発をしっかりやっていこうということで、研究施設を作った」(田中氏)

 研究センターの技術者数は当初30名だったが、現在は約50名と、当初の予定通りの人員が揃っているという。投資については3年以内に80億円で「三洋電機の研究開発投資としては破格」だという。

 「HIT太陽電池は昨年のシリコン減量問題など、事業を進めていく上でさまざまなリスクがある。また、三洋はもともと薄膜太陽電池でスタートしているということもあり、結晶シリコンにない、新たな特長、低コストを生かした次世代の薄膜シリコン太陽電池の開発を本格的に進めていく」(田中氏)

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画像8 同社の太陽電池製造プロセス

薄膜シリコン太陽電池の技術

 技術的な内容について田中氏は「詳細はいえない」としたが、方向性としては、基本的には“変換効率をいかに上げるか”を念頭に少なくても12%を実現したいという。「多結晶シリコンが見えるようなところまで持っていかないと、薄膜シリコンはきちんとしたビジネスにできない」(田中氏)

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画像9 新CVD法について

 同時に、設備材料費はCV、圧縮が重要になるため、電極付きのガラス基板やモジュール材料にターゲットを絞るという。同社ではCVD(局在プラズマ)法という新技術を開発しており、こうした独自技術を武器に本格的な事業をしっかりと確立していくという。

 そうした中、2009年1月に新日本石油との薄膜太陽電池の合弁会社「三洋ENEOSソーラー」の設立が発表された。三洋電機が持つ薄膜太陽電池のデバイス技術力と新日本石油が石油精製、石油化学品製造で培ってきた原材料の技術力を合わせ、世界市場を見据えた薄膜太陽電池事業を進めていくという。

今後のビジョン

 同社の太陽電池事業は、薄膜太陽電池に始まり、その後HIT太陽電池を開発して以来、HIT太陽電池でのビジネスを長く進めてきた。しかしHIT太陽電池の市場でのポジションは、住宅用としては良いが、大規模なシステムになると費用が高くなってしまうことから、一定の限られた市場のみになっている。

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画像10 今後の事業計画

 そこで今後は、現在の主力市場である単結晶/多結晶シリコン太陽電池市場を、HIT太陽電池と薄膜太陽電池の両方でアプローチしていくビジョンを掲げている(同社の中期経営計画によると、2020年度に合計4GW、世界シェア10%を目指す構えだ)。「HIT太陽電池については先ほども述べたように、2010年に600MW規模を、薄膜太陽電池については新日石との協業で、参入拡大を目指す」(田中氏)

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