カメラを利用して、はんだ付けを行った部分の検査や修理を行う場合には、小さな領域の画像を観察する必要がある。このような用途では、照明を横方向から当てると、影の影響によって色合いの変化や画質の劣化が生じる。そのため、モニター画面上での観察結果や判断があいまいになることがある。
それに対し、リング状の照明を用いて、その中心を対象個所に合わせれば、全方位から細部を照らすことができ、観察が容易になる。本稿で紹介するのは、このように利用可能なLEDを用いたリング状照明である。そのリング状照明は、光強度を制御できることに加え、2段階の光強度パターンを作ることができる。また、一方の光強度パターンについては時計回り/反時計回りで回転させることも可能である。
図1の回路では、7個の白色LEDを用いてリング状照明を構成している。連続する任意の3つのLEDを使用して、補助強度パターンを生成することができる。残り4個のLEDは、照射面全体の基準強度となるベース強度パターンを生成する。こうした設定は、4個のプッシュボタンスイッチA、B、C、Dによって行う。7個のLEDが順次あるいは指定したパターンで発光するように設定することができる。設定された条件に対応し、マイクロコントローラ「PIC16F505」(米Microchip Technology社製)で生成したPWM(パルス幅変調)信号が各LEDに供給される。2個のスイッチC、Dにより、光強度の増減を設定するか、あるいは2種の強度パターンを使用するか否かを設定することが可能である。残りのスイッチA、Bは、補助強度パターンを時計回りに回転させるのか、反時計回りに回転させるのかという設定に使用する。各プッシュボタンスイッチの状態に対応する機能を表1にまとめておく。なお、回路右端の緑色LEDは、2種の強度パターンに対応して点灯する。
この回路は、LEDの駆動/状態の管理/PWM制御に用いるマイクロコントローラのほか、ごくわずかな部品で構成している。にもかかわらず、プッシュボタンスイッチのデバウンス機能なども実現している。マイクロコントローラ用のプログラムは、こちらからダウンロード可能である。
マイクロコントローラから供給されるPWM信号の周期は、全LEDに共通で約7.5msとなっている。デューティサイクルは各LEDごとに決まるが、その値はスイッチA〜Dの操作によって、各LED用のレジスタに保持された値に対応して設定される。光強度の分解能を8ビットとすることも可能だったが、この例では6ビット(64レベル)とした。動作電圧は5Vだが、マイクロコントローラやLED、電流制限抵抗などを変更すれば、3.1V程度まで下げることができる。LEDとしては、高輝度/白色/5mm径の「LTW-2S3D7」を使用した。マイクロコントローラの駆動電流はLED1個当たり8mAだが、全体の消費電力を制限すれば、表面実装型など、ほかの形状のLEDも使用できる。4個のプッシュボタンスイッチにはモーメンタリ動作のものを使用し、左右どちらの手でも操作できるよう配置した。
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