本稿では、フォトレジスタを利用した光電式タイマーを紹介する。このタイマーは110/220VのAC電源と負荷(例えば、照明装置など)の間に設置して使用する。その機能は次のようなものである。まず、日没から1時間後に負荷(例えば、照明装置など)の電源をオンにする。そして電源がオンの状態を保持し、3時間後に負荷の電源をオフにする。その後は、人手による操作で再起動(リセット)されるまで、負荷の電源をオフのまま保持する。
この回路の開発にあたっては、家電製品並みの低いコストを実現しなければならないという条件があった。上述した機能を実現する回路は、電圧コンパレータやRC時定数回路で構成した2段式タイマーを使えば開発可能だが、A-Dコンバータを内蔵する低価格の8ビットマイクロコントローラを使用するほうが優雅なアプローチだ。その場合、必要な機能はすべてファームウエアにより実現できる。
図1に示すように、実際の回路では、8ビットのマイクロコントローラIC1「MC68HC908QT2」(米Freescale Semiconductor社製)を使用した。このマイクロコントローラの電源ラインについては、筆者が以前、執筆した参考文献*1)の内容を応用した。
Q1は米Littelfuse社のロジックトライアック「L2004F31」であり、負荷の電源オン/オフに使用する。ここで用いるトライアックは、所要の負荷電流と電源電圧だけを条件として選択することができる。L2004F31の場合、ゲートトリガー用のDC電流はわずか3mAで済み、200VACの電圧で4ARMSの電流を流すことが可能である。
フォトレジスタP1としては、米Perkin Elmer社の「VT90N1」を使用した。暗時の抵抗値は200kΩであり、光が当たったときの抵抗値は10kΩ以下にまで下がる。
LEDはタイマーの動作状態の表示に使用する。このLEDは、タイマーが動作可能な状態にあり、周囲が暗くなるまでの間は点灯する。その後は負荷の電源がオンになるまで点滅し、負荷の電源オンからリセットによる再起動までは消灯する(図2)。LEDとしては、台湾Kingbright社の「W934GD5V」を使用した。同製品には電流制限抵抗が組み込まれているので、部品点数を抑えることができる。
負荷の電源をいったんオフにした後のタイマーの再起動は、人手でリセット用のプッシュボタンスイッチを押すことにより行う。
すべての時間設定は、ファームウエアによって行っている。そのため、変更が容易である。ファームウエアのソースコードは、こちらからダウンロードできる。
脚注
※1…Raynus, Abel, "AC line powers microcontroller-based fan-speed regulator," EDN
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