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SEMを用いないで太陽電池ウェーハを検査Design Ideas

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 太陽電池の製造過程では、太陽電池セルが欠陥品でないかどうかの検査が必要となる。その検査方法として、多くの製造メーカーは、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いてウェーハの状態でチェックする手法を採用している。

 SEMを使用すれば、セルの結晶粒界に至る細部までチェックでき、高い検査精度が得られる。しかし、SEMを利用する場合、一度に観測可能な範囲が狭いため、検査時間が長くなる。つまり、SEMによってウェーハ全体を検査するには、何度も走査を行わなければならないことが、この手法における欠点となっている。

 本稿では、欠陥のあるセルを検出するためのツールとして、SEMの代わりにSWIR(Shortwave Infrared:短波長赤外線)センサーを利用する方法を紹介する。

図1検査システムの概要
図1 検査システムの概要 SWIRセンサーからの発光情報(アナログ信号)がデジタル化され、画像取り込みカードに送られる。
写真1ウェーハ画像の例
写真1 ウェーハ画像の例 横棒状に暗く見える部分が欠陥のあるセル。

 この方法では、セルに電圧を印加した際に生じる発光(エレクトロルミネセンス)を欠陥の検出に利用する。太陽電池のセルは、順方向にバイアス電圧を印加して7A以上の電流を流すと、約1.1μmの波長で発光する。これをSWIRセンサーで検出するのだが、ウェーハ全面を一度に画像化することが可能であるため、走査の必要がない。その画像上でウェーハからの発光を検出することにより、欠陥のあるセルであるか否かを判定することができる。

 以下では、筆者らが実際に使用している製品などの情報も交えつつ、この検査システムの概要を紹介することにする。

 検査システムの構成は、図1に示すようなものとなる。このシステムにおいて、SWIRセンサー(撮像素子)がセルの発光を感知し、それをアナログ電気信号に変換する。この信号はプリアンプによって十分なレベルに増幅され、A-Dコンバータに入力される。このA-Dコンバータによって10メガサンプル/秒の速度でデジタルデータに変換された信号が、デジタル処理部に入力される。

 A-Dコンバータから出力されるデジタルデータは、LVDS(低電圧差動信号)インターフェースを経由して、システム内の画像取り込みカード(筆者らは米DALSA社製のフレームグラバーを使用した)に入力される。システムでは、C++で書かれた専用画像処理ソフトウエアによる処理が行われ、画面上にウェーハ全体の画像が表示されるという仕組みだ。 センサーを搭載する基板には、プリアンプ、A-Dコンバータに加え、マイクロコントローラも実装し、センサーとA-Dコンバータを駆動するためのクロックを生成する。マイクロコントローラとしては米Atmel社製のものを用いた。同コントローラのRS-232インターフェースを経由して通信することで、オペレータからのSWIRセンサーの動作モード設定などの指令を受け取る。SWIRセンサーを駆動するためのクロック信号は、タイミングドライバ回路を介して供給される。

 このシステムで取得したウェーハ画像の例を写真1に示した。この画像はセルの発光強度分布を表している。高い品質の太陽電池であるためには、発光強度の分布が一様であることが肝要だが、実際にはほぼ間違いなく何らかの不均一性がある。写真1の画像の場合、横棒状に暗くなっている部分が、キャリア濃度の減少に起因する欠陥を持っている。

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SEM | A-Dコンバータ | 太陽電池 | 赤外線


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