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直列蓄電セルの均等充電器を少ない素子数で実現Design Ideas

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 リチウムイオン電池や電気2重層キャパシタなどを直列に接続して使用する場合、各セルの容量、内部抵抗、自己放電率などが不均一であることから、各セルの電圧(以下、セル電圧)にばらつきが生じる。セル電圧がばらつくと、電池/キャパシタの劣化が加速的に進行したり、利用可能なエネルギーが低下したりといった各種の問題が発生する。このような電圧のばらつきを解消するために、さまざまな均等化回路や均等化充電器が提案されている*1)。しかし、従来の方式では、直列に接続するセルの数に応じて多数のスイッチやトランスが必要となるので、回路の構成が複雑になってしまうという問題がある。


図1 本稿で紹介する均等化充電器
図1 本稿で紹介する均等化充電器 

 本稿では、能動部品を1つだけしか使わないで構成可能な均等化充電器を紹介する*2)

 図1において、B1、B2、B3はリチウムイオン電池や電気2重層キャパシタなどの蓄電セルを表している。すなわち、この図は、蓄電セルを3個直列に接続する場合の例となっている。回路中に存在する能動部品はスイッチQ1のみであり、それ以外はすべて受動部品によって構成されている。

 破線で囲った部分(電源VIN、インダクタLIN、スイッチQ1、コンデンサC1、インダクタL1、ダイオードD1、蓄電セルB1で構成される回路)は、SEPIC(Single Ended Primary Inductor Converter)と同様の構成となっている。従って、この均等化充電器の制御には汎用のSEPIC用コントローラICを使用することができる。見方を変えると、図1の回路は、従来のSEPICに対して、コンデンサC2、ダイオードD2、インダクタL2と、コンデンサC3、ダイオードD3、インダクタL3で構成される回路が多段に積み重ねられた構成であるとも言える。

図2 動作モード
図2 動作モード 

 この回路の動作モードは図2のようになる。まずスイッチQ1がオンの期間では、図2(a)のように、スイッチQ1を介して流れる、VINやB1、B2からの電流により、各インダクタにエネルギーが蓄積される。一方、スイッチQ1がオフの期間には、ダイオードD1、D2、D3が導通することで、各インダクタに蓄えられていたエネルギーが蓄電セルB1、B2、B3へと供給される(図2(b))。

 この充電器の動作時におけるB1、B2、B3それぞれのセル電圧VB1、VB2、VB3は、従来のSEPICと同様に、以下の式で表される。

 ここで、DはコントローラICにおけるスイッチング信号のデューティ比を表している。

図3 シミュレーションの結果
図3 シミュレーションの結果 

 この回路のシミュレーション結果を図3に示す。シミュレーションにおいて、図1の回路のB1、B2、B3としては、それぞれ容量が1Fのコンデンサを使用した。また、C1、 、C3としては、容量がそれぞれ100μFのコンデンサを用い、LINならびにL1、L2、L3には100μHのインダクタを用いた。VINは5Vとし、SEPICコントローラICのスイッチング周波数を50kHzとしている。

 図3は、このような条件の下、B1、B2、B3をばらつかせた状態から充電を行った様子を表している。その際、コントローラICの動作としては、B1の電圧とLINの電流を検出することで、セル電圧が4.0Vとなるようデューティ比制御を行うものとした(入力電流は5.0Aとした)。図3を見ると、時間の経過とともにセル電圧のばらつきが徐々に解消され、最終的にはすべてのセルが4.0Vの均一な電圧まで充電されていることがわかる。


脚注

※1…J. Cao, N. Schofield and A. Emadi, "Battery Balancing Methods: A Comprehensive Review," IEEE Vehicle Power and Propulsion Conference, pp.1?6, September 2008

※2…この方式について、現在特許出願中である。


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