ナビタイムジャパンは2010年5月、東京都内で記者会見を開き、通信機能付きのPND(Personal Navigation Device)の第1弾製品として、自動車向けのナビゲーション専用端末「CAR NAVITIME(カーナビタイム)」を発表した。また、同端末の通信機能は、KDDI/沖縄セルラー電話が展開する携帯電話サービス「au」の通信ネットワークを利用することも明らかにされた。カーナビタイムは、2010年7月に販売を開始する。本体価格は4万3800円。通信費は、定額で525円/月(2年間の継続契約の場合)。販売台数は、2010年度末までで5万台を目標としている。
ナビタイムジャパン社長の大西啓介氏(写真1)は、「これまで当社は、auをはじめとする携帯電話キャリア向けに、助手席の同乗者用のカーナビゲーションサービスを提供し、総計130万人のユーザーを獲得してきた。しかし、このサービスは、法規制もあってドライバー自身が使うことはできなかった。カーナビタイムは、当社のサービスをドライバーに使ってもらうために開発したナビゲーション専用端末だ」と語る。
カーナビタイムでは、携帯電話の通信ネットワークを利用した通信機能によって、最新の地図データを同社のサーバーから取得できるようになっている。大西氏は、「カーナビゲーションシステムのユーザーが、次に購入する製品で最も重視する機能として挙げているのが、いつでも最新の地図データを使えるということだ。カーナビタイムは、この機能を実現している」と強調する。なお、サーバーの地図データは、年間で3回の更新を予定している。
また、地図データ以外に、道路や新しい建物の表示、駐車場やコンビニエンスストアなどのスポット情報についても最新のものを利用することが可能である。さらに、レストランの“クチコミ評価”や駐車場の満車/空車情報、ガソリンスタンドのガソリン価格などについてもリアルタイムの情報を得ることができる。レストランについては、グルメサイトの「ぐるなび」や「FOOMOO」の情報をスポット情報として利用できるだけでなく、行きたい店舗のクーポンをドライバーの携帯電話機に転送することも可能となっている。
ナビタイムジャパンは、先に述べたとおり、すでに助手席の同乗者向けのカーナビゲーションサービスを展開している。カーナビタイムでは、このサービスを利用している130万人のユーザーとカーナビタイムのユーザーから得たリアルタイムの交通情報を活用する「オンデマンドVICS(道路交通情報通信システム)」により、詳細な渋滞予測を行うことができる。また、携帯電話機やパソコン向けのナビタイムのサービスとの連携機能も大きな特徴となっている。例えば、徒歩や電車で訪問した地点の位置情報を携帯電話機からカーナビタイムに転送したり、前日にパソコンで調べた移動ルートの情報をカーナビタイムに転送したりすることが可能である。
カーナビタイムのハードウエアの仕様は以下のとおり。本体サイズは、149mm×92.5mm×28.5mmで、重量は約300g(内蔵のリチウムイオン電池を含む)。モニターには、5インチサイズ/480×272画素の抵抗膜方式タッチパネルを採用している。ナビゲーション機能のために、GPS(全地球測位システム)受信機、ジャイロセンサー、加速度センサーを搭載した。地図データを格納するために、8GバイトのSDカードを内蔵している。
「Link→au」対応品の第1弾
会見では、KDDIの取締役執行役員常務でグループ戦略統括本部長を務める高橋誠氏(写真1)も登壇した。
高橋氏は、「auは、2010年7月から、今後の市場の拡大が見込まれる通信機能付きデバイス向けに通信サービスを提供する『Link→au』を開始する。このサービスに対応した第1弾製品となるのが、カーナビタイムだ。どの程度のデータ量の通信が行われるのか、ユーザーの求める価格はどの程度なのかといったことについて、ナビタイムジャパンと共同で検討した結果、今回の525円/月という価格で通信サービスを提供することにした。今後も、さまざまなデバイスにLink→auを提供していきたい」と述べている。なお、Link→auでは、SDカードサイズの専用モジュールを使って通信を行う。また、カーナビタイムにおける通信については、「5分に1回更新するオンデマンドVICSに関する通信が最も頻度が高い」(高橋氏)という。
(朴 尚洙)
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