「2013年にはNANDフラッシュは3次元化」――東芝がIC/部品事業の方針示す:2011年度の事業方針
東芝は2011年5月、東京都内で記者会見を開き、同社代表執行役社長を務める佐々木則夫氏が2011年度の事業方針を説明した。
東芝は2011年5月、東京都内で記者会見を開き、同社代表執行役社長を務める佐々木則夫氏が2011年度の事業方針を説明した(写真1)。
東芝の4つの事業グループの1つである電子デバイス事業は、2010年度の売上高が1兆3477億円、営業利益が868億円だった。これに対して、2011年度は売上高が1兆4500億円、営業利益が1400億円となる見通しで、2013年度には売上高を1兆8500億円、営業利益を2700億円まで増やす計画である。2011年度から2013年度にかけて、売上高の年平均成長率は13%となっている。
これらの数字を達成するために、NAND型フラッシュメモリー、システムLSI、マイコン/アナログIC、イメージセンサー、パワーデバイスなどの各製品分野で施策を進めることとなった。まず、NAND型フラッシュメモリーについては、2011年4月にサンプル出荷を発表した19nmプロセス品の量産を同年7月に開始するなど、微細化で競合他社に先行するかまえ。佐々木氏は、「NAND型フラッシュメモリーは、あと2段階ほど微細化によって性能を向上する余地があると考えている。その後には、BiCS(Bit Cost Scalable)などの3次元メモリー技術を採用することになる。2013年度に入る前には、BiCSの実用化が始まっているだろう」と述べた。なお、NAND型フラッシュメモリー製品の売上高は、2015年度で1兆1000億円を目標とする。
次に、システムLSIでは、ファウンドリへの委託など、社外での製造比率を高めることにより、ファブレス化を加速させる方針だ。300mmウェーハを用いたSoC(System on Chip)の場合、外部への委託比率は、2011年に50%となる予定だ。そして2013年には、この数字を80%超にまで高める計画である。「さらにファブレス化を加速させる可能性もある」(佐々木氏)という。
また、マイコン/アナログICについては、生産効率の改善を進める。具体的には、高収益の品種を中心に、現在の品種数を半減させることで実現する。製造ラインのウェーハのサイズを、150mmから200mmに移行することも検討している。
イメージセンサーでは、300mウェーハを用いたBSI(裏面照射型) CMOSセンサーの量産で先行することにより、2013年には同市場におけるシェア30%の獲得を目指す。
パワーデバイスでは、スーパージャンクション型MOSFETなど高効率を特徴とする製品群の展開を強化する。次世代パワーデバイスとして期待されているSiC(シリコンカーバイド)デバイスやGaN(窒化ガリウム)デバイスの市場投入も加速する。なお、SiCデバイスは、鉄道/車載用インバータ向けに、GaNデバイスは携帯型機器の超小型電源向けに展開する方針だ。佐々木氏は、「パワーデバイスをはじめとする個別部品は、現在の施策の延長線上で年率2桁の成長が可能だろう」と述べている。
(朴 尚洙)
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