三菱電機は2011年6月、都内で記者発表会を開き、同社の経営戦略について説明した。登壇した同社執行役社長の山西健一郎氏は、同社のパワーデバイス事業について、「パワー半導体では、Si(シリコン)製からSiC(シリコンカーバイド)製への置き換えを加速させる」との方針を示した(写真1)。
三菱電機は、2010年11月に、SiCパワー半導体を用いたインバータを搭載したエアコンを発売した。このときは、Si製のトランジスタとSiC製のダイオードを用いた「ハイブリッドSiC」のインバータであったが、2012年度中にはトランジスタにもSiCを採用した「フルSiC」のインバータを内蔵したエアコンを発表する予定だとしている。これに先駆けて、2011年度末までに、鉄道向けのハイブリッドSiCインバータの開発を完了し、2012年には量産に結び付けるとしている。また、2012年度には、FA機器でSiCパワー半導体を採用する予定だという。山西氏は、SiCパワー半導体を用いた製品について、「当初の計画よりも、実用化までのスピードが速くなっている」と述べる。このほか、同社は2011年2月に、フルSiCのインバータモジュールである「フルSiC-IPM」も発表している。
また山西氏は、ハイブリッド自動車(HEV)/電気自動車(EV)向けの製品についても言及した。現在、三菱電機は電源ユニット(IPU)をはじめ、電子制御ユニット(ECU)、電池管理ユニット(BMU)などを自動車メーカーに供給している。今後はこれらに加え、モーターと車載充電器、昇圧/降圧型DC-DCコンバータを搭載したユニットの開発を進めるという(図1)。山西氏は、「2014〜2015年には(自動車に)搭載できるように開発を進めている。IPU/ECU/BMUの販売を継続することに加え、このユニットを投入することで、(EV/HEV向け製品の)事業拡大を図る」と語った。
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