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リチウムイオン電池の量産車採用が本格化人とくるまのテクノロジー展 2011(3/3 ページ)

『人とくるまのテクノロジー展 2011』が、2011年5月18日から20日までパシフィコ横浜で開催された。東北地方太平洋沖地震の影響により、来場者数は昨年より減少したものの、電気自動車やハイブリッド車関連を中心に、注目すべき新技術の展示が行われた。

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路面清掃車でEDLCを活用

 電子部品メーカーとツールベンダーも、興味深い展示を行っていた。


写真14HEVタイプの路面清掃車に搭載されたEDLCモジュール
写真14 HEVタイプの路面清掃車に搭載されたEDLCモジュール ブレーキ時のエネルギー回生や、走行用モーターの動作に用いる蓄電デバイスとなっている。
写真15「EVerCAP」の超低抵抗品
写真15 「EVerCAP」の超低抵抗品 右側が単体の部品で、左側がモジュール製品。
写真16「TPL802727シリーズ」
写真16 「TPL802727シリーズ」 タイヤ空気圧センサーやパッシブキーレスエントリーなど、LF帯(周波数125kHz)の通信波を用いる車載システムの用途に向ける。
写真17「MI-CB-1Dx」のデモ
写真17 「MI-CB-1Dx」のデモ 腕時計の右にある白い物体の中にMI-CB-1Dxが組み込まれている。腕時計の秒針が動いたときに生じる磁界の変化をとらえることが可能だ。
写真18「バッテリスタックエミュレータ」
写真18 「バッテリスタックエミュレータ」 EVやHEVなどの2次電池管理用ECUを開発する際に用いる製品である。
写真19 「SCALEXiO」
写真19 「SCALEXiO」
写真20リモート解析のデモ
写真20 リモート解析のデモ 右上にあるECUやデータロガーと、下にあるノート型パソコンとの間を無線通信で接続することにより、リモート解析を実行している。

 日本ケミコンが紹介したのは、HEVタイプの路面清掃車に用いられている電気2重層キャパシタ(EDLC)モジュールである(写真14)。このEDLCモジュールは、日本ケミコンのEDLC「DLCAP」を用いて、米US Hybrid社が開発したもの。容量は224Whで、入出力の電圧は390V。使用温度範囲は−40〜60℃となっている。

 ニチコンは、EDLC「EVerCAP」を用いたモジュール製品を公開した(写真15)。同モジュールには、同社が「超低抵抗」とうたう円筒型のEDLCが使用されている。その直流内部抵抗(DCR)は3mΩで、外形寸法は直径35mm×長さ 68mm、定格電圧は2.5V、容量は165F。モジュールでは、このEDLCを直列に6個接続したものを、並列で2組つないでいる。モジュールとしての仕様は、外形寸法が80mm×135mm×126mmで、定格電圧が14.5V、容量が66F。DCRは27mΩとなっている。

 TDKは、車載用トランスポンダコイルの新製品「TPL802727シリーズ」を参考展示した(写真16)。内部構造と製造プロセスを工夫することによって、同社の従来品と比べ、小型化とアンテナ感度の向上が図れることを特徴とする。外形寸法は長さ8mm×幅3mm×高さ2.9mm。これに対して、従来品では、長さが11mmだった。

 愛知製鋼は、MI(磁気インピーダンス)効果を利用した磁気センサー「MI-CB-1Dx」を紹介した(写真17)。アモルファスワイヤーと呼ばれる合金ワイヤー(直径は20μmほど)にパルス電流を流したとき、外部磁界によってインピーダンスが大きく変化するMI効果を応用したもの。「従来の磁気センサーに比べて1万倍以上の高い感度を持つ」(同社の説明員)ことから、0.1nT(テスラ)という高い検出感度を実現できるという。

 イータスは、最大120個までの2次電池セルの動作(電圧/電流の出力)を模擬することができるHILS(Hardware in the Loop Simulation)システム「バッテリスタックエミュレータ」を展示した(写真18)。同システムは、電池セルの動作について、0Vおよび0.7V〜5.0Vの出力電圧と、0A〜±2Aの出力電流の範囲で模擬することができる。電圧の出力精度は±1mVで、電流の設定精度は±1mAとなっている。

 dSPACE Japanは、プラットフォームを刷新したHILSシステム「SCALEXiO(スカレクシオ)」を披露した(写真19)。同社の既存のHILSシステムと比べて、運用性と拡張性を高めたことを特徴としている。価格は、「1〜3個のECUで構成される車載システムの試験に対応する中規模の製品であれば、既存品と同程度になる」(同社)という。

 ベクター・ジャパンは、開発中の車載機器のネットワーク信号をリモート解析する手法を紹介した(写真20)。同社が想定するリモート解析の利用場面は2つ。1つは、複数の開発拠点が連携して車載機器を開発するケース。もう1つは、テストコースなどで走行している試作車のECUの動作をリアルタイムでリモート解析したいというケースである。

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