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Xilinx社が「Virtex-7」のサンプル出荷を開始、実チップを用いたデモも披露

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図1 Xilinx社の「Virtex-7VX485T」
図1 Xilinx社の「Virtex-7VX485T」 

 米Xilinx社は2011年7月、東京都内で記者会見を行い、28nmプロセスを用いたFPGAの最新製品「Xilinx 7シリーズ(以下、7シリーズ)」のハイエンド品である「Virtex-7」のサンプル出荷を開始したことを明らかにした。サンプル出荷を開始したのは、Virtex-7の中で適用できるアプリケーションの範囲が最も広い「Virtex-7 VX485T(以下、VX485T)」である(図1)。サンプル出荷を開始した7シリーズとしては、ミドルレンジ品の「Kintex-7 K325T(以下、K325T)」に次いで2品種目となる。

 Virtex-7は、2.7Tbpsに達するシリアルインタフェースの帯域幅、最大5.1テラMAC(1MACは1秒間に1回の積和演算処理を行える性能を示す)というDSPの信号処理性能、スタックドシリコンインターコネクト技術(関連記事)によって実現した約200万個というロジックセル数などを特徴としている。ザイリンクスのマーケティング本部でマーケティングマネージャーを務める橘幸彦氏は、「既存のハイエンド品である『Virtex-6』と比べると、これらの性能指標はすべて2倍になった。何よりも、この高い性能を消費電力を増やすことなく実現できたことが重要だと考えている」と強調する。

 VX485Tは、ロジックセル数が約48万5000個で、最大帯域幅が12.5GbpsのGTXトランシーバを56チャンネル備えている。DSPスライスは、最大で2800個搭載することが可能だ。会見では、このVX485Tの実チップを用いた3つのデモンストレーションが披露された。

図2 デモを行ったラインカードの構成
図2 デモを行ったラインカードの構成 

 1つ目のデモは、帯域幅が100Gbpsのインタフェースを2チャンネル備えるラインカードをVX485Tを用いて構成する際に、シリアルインタフェースとなるGTXトランシーバのアイパターンをオシロスコープで計測するというものである(図2)。この計測結果において、VX485TのGTXトランシーバは、良好なアイパターンを備えていることが示された。

 2つ目は、PET(陽電子射出断層撮影)スキャナにおいて、検出器アレイから得られたデータを組み合わせて3次元の断層撮影映像を生成する用途のデモである。この用途では、使用するFPGAのロジックセルの規模とDSPの処理性能が向上することにより、装置へのFPGAチップの搭載個数を減らせることが知られている。VX485Tは、従来品の「Virtex-6 LX240T(以下、LX240T)」と比べてロジックセル数が大きく、DSP処理性能も高いことから、FPGAチップ1個当たりのデジタルアップコンバータ(DUC)のチャンネル数を2倍の96個に増やすことができる。このことは、装置に搭載するFPGAチップの個数を半分に減らせることを示している。デモでは、これらのDUCチャンネルが正常に動作していることを、パワースペクトル密度の計測によって確認した。

 3つ目のデモは、Virtex-6であるLX240T、Kintex-7であるK325T、Virtex-7であるVX485Tの消費電力の比較である。LX240Tは、動的な消費電力の比較に用いるPCM(Power Consumption Module)という回路ブロックを512個搭載することができる。このとき、PCMをまったく動作させないスタティック消費電力は約4Wで、PCMをすべて動作させたときのダイナミック消費電力は7W弱となる。次に、K325TにPCMを512個搭載した場合、スタティック消費電力は1W弱で、ダイナミック消費電力は3.2W〜3.3Wとなった。最後に、VX485Tについては、PCMの搭載数がこれらの約2倍となる944個の場合の消費電力を計測した。スタティック消費電力は約2W、ダイナミック消費電力は6.3W〜6.4Wとなった。橘氏は、「この比較結果から、Kintex-7は、Virtex-6とほぼ同じ機能を約半分の消費電力で実現できることが分かる。これに対して、Virtex-7は、Virtex-6とほぼ同じ消費電力で、2倍の機能を搭載できることが特徴になる」と述べている。

(朴 尚洙)

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