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トライジェンスのフルデジタルスピーカ用信号処理IC、24ビット/96kHzのオーディオ入力に対応

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図1 「Dnote」処理用ICの新製品を搭載する評価ボード
図1 「Dnote」処理用ICの新製品を搭載する評価ボード 

 Trigence Semiconductor(トライジェンス セミコンダクター)は2011年8月、フルデジタルスピーカ用信号処理技術「Dnote」に対応するICの新製品として、分解能24ビット/サンプル周波数96kHzのオーディオ入力に対応し、USBインタフェースを搭載する品種を発表した(図1)。フルデジタルスピーカの開発についての協業を前提とした一部の企業に対するサンプル品の提供を始めている。

 トライジェンスは、Dnoteの開発や、ミックスドシグナル回路の設計委託業務などを手掛けるベンチャー企業である。一般的なスピーカでは、オーディオ信号の振幅変化に対応したアナログ信号が入力されるのに対して、フルデジタルスピーカでは、デジタル信号が入力される*1)。同社は、フルデジタルスピーカの設計手法を2008年に発表して以降、その実用化に向けた取り組みを進めてきた(関連記事1関連記事2)。

 今回開発した品種は、Dnote処理用回路とUSBインタフェースを集積しつつ、分解能が24ビット、サンプル周波数が96kHzのオーディオ入力に対応したことを特徴とする。さらに、ハイエンドのUSB対応オーディオ用D-Aコンバータに広く採用されている「非同期データ転送モード(Asynchronous Transfer Mode)」を用意した。これは、USB信号から基準信号を生成するのではなく、精度の高いローカルクロックを基準信号として使うためのモードである。同社の従来品を用いてUSBインタフェースを利用したい場合には、個別部品のUSBインタフェースICを外付けする必要があった。しかも、一般に販売されているUSBインタフェースICは、分解能が16ビットで、非同期データ転送モードに対応していないものがほとんどだという。

 「24ビットの分解能を持つ高音質のオーディオコンテンツをインターネット経由で手に入れて、手元にあるオーディオ機器で再生するというような利用シーンも増えてきた。とはいえ、その高音質のオーディオコンテンツを高音質なままで、しかも手軽に聞ける環境が整っているとは言い難い。当社のDnote処理用ICを使えば、このICとスピーカというシンプルな構成で、高音質のオーディオコンテンツを再生可能なオーディオ機器を実現できる。しかも、消費電力が従来のオーディオ機器に比べて極めて小さいので、USBバスパワーだけで動作させることが可能だ。実際に聞いてもらうと、USB経由の電源供給だけでこれだけ迫力のある音が出せるのかと驚かれることが多い」(トライジェンスの取締役兼開発部長を務める岡村淳一氏)。

 Dnote処理用ICと組み合わせて使う専用スピーカの改良も、スピーカメーカーと協力して進めている。現在、国内外の複数のスピーカメーカーの協力を仰ぎながら、専用スピーカの開発を進めている段階である。

(前川 慎光)

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