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STマイクロが「Cortex-M4」マイコンを発表、動作周波数は業界最高の168MHz

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 STマイクロエレクトロニクス(以下、STマイクロ)は2011年10月、ARMのハイエンドマイコン用プロセッサコア「Cortex-M4」を採用した32ビットマイコン「STM32 F4」シリーズを発売した。これまでにSTマイクロは、ARMのマイコン用プロセッサコア「Cortex-M3」を採用した32ビットマイコンを2007年に発売していたが、Cortex-M4を採用した製品の市場投入は同社として今回が初となる。オーディオ機器や車載エンターテインメント機器、FA機器、計測機器、通信機器といった用途において、ローエンドのDSPやローエンドのMPU(例えば、「ARM9」を採用するローエンド品)の置き換えを狙う(写真1)。既に量産を開始している。1000個購入時の参考単価(「SMT32F407VET6」の場合)は5.20米ドルとなっている。


写真1 「STM32 F4」シリーズの位置付け
写真1 「STM32 F4」シリーズの位置付け 

 Cortex-M4を採用したマイコンは、Freescale SemiconductorやNXP Semiconductorsも製品化している。STマイクロのMMSグループ マイクロコントローラ製品部でマネージャーを務める立薗明彦氏(写真2)は、これら競合他社の製品と比べた場合のSTM32 F4シリーズの特徴について、「ARMの『Cortex-Mシリーズ』をプロセッサコアとして採用する汎用マイコンの中で最も処理性能が高い」と説明する。具体的には、最大動作周波数が168MHzで、このときの処理性能が200DMIPS(Dhrystone MIPS)となっている。

写真2 STマイクロの立薗明彦氏
写真2 STマイクロの立薗明彦氏 

 また、「ARTアクセラレータ」と呼ぶ適応型メモリアクセラレータ機能を搭載しており、168MHzの動作周波数まで待機時間(ウェイトサイクル)無しで、フラッシュメモリにアクセスできる。「マルチAHBバスマトリックス」と呼ぶ独自のバス構造も搭載しており、周辺回路に高速アクセスすることを可能にした。

 STM32 F4シリーズは、内蔵フラッシュメモリの容量や周辺回路、インタフェース回路の違いによって、「STM32F417」と「STM32F415」「STM32F407」「STM32F405」という4つの製品グループに分けられている。これら4グループの合計で12品種を揃える。

 例えば、最も豊富な機能を有するSTM32F417グループは、ハッシュ関数処理用ハードウェアや暗号化用コプロセッサの他、3個の12ビットのA-Dコンバータ、2個の12ビットのD-Aコンバータといったアナログ回路や、イーサネットインタフェースやカメラインタフェース、USBインタフェースなどを搭載する。内蔵フラッシュメモリの容量は最大1Mバイト、SRAMのメモリ容量は192kバイトである。

 今後STM32 F4シリーズでは、アナログの周辺回路を強化した品種の市場投入が予定されている。さらに、STマイクロは、ARMのローエンドマイコン用プロセッサコア「Cortex-M0」を採用した製品を2012年第2四半期に発表する計画も明らかにしている。

(前川 慎光)

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