アジレント・テクノロジーは2011年10月、USB 2.0/3.0に対応するプロトコルアナライザ(プロアナ)「Agilent U4611A USB 3.0/2.0 プロトコル・アナライザ(以下、U4611A)」および「同U4611B」を発表した(図1)。USB 3.0に対応したプロトコルアナライザとしては、同社初の製品となる。USBチップのベンダーやPCの周辺機器メーカー、組み込み機器メーカーの研究開発、品質保証などの用途に向ける。
U4611A/U4611Bとも、SerialTekから2011年9月に買収したUSB関連技術を用いたものとなっている。最大18Gバイト(GB)という大容量のトレースバッファ(トレースメモリ)を備えているにもかかわらず、550Mバイト/秒(MB/s)のデータ転送速度を実現している点を最大の特徴とする。なお、U4611Bは18GBのトレースバッファを標準で搭載しているが、U4611Aについては2.25GB/4.5GB/9.0GBから選択できるようになっている。
アジレントは、「シリアルインタフェースの通信内容は、高速になるほど短時間しかキャプチャすることができない。転送速度が480メガビット/秒のUSB 2.0で10秒間キャプチャできるとすると、トレースバッファの容量が同じ場合、5ギガビット/秒とUSB 2.0の約10倍の転送速度を持つUSB 3.0では1秒程度のキャプチャしかできないことになる。これでは、エラーの原因などを解析できない可能性がある」と説明する。一方で、トレースバッファの容量が大きいということは、データの転送や解析、保存に長時間かかるということである。そのため、アジレントによると、「解析を行うための時間を確保するために、メモリの容量を少なくてもよいと考えている技術者が多かった。実際、USBプロトコルアナライザのトレースバッファの容量は、4GB程度が一般的である」という。
今回発表したU4611A/U4611Bは、こうした相反するニーズに応えたものだ。インタフェースにPCI Express Gen2×4を採用することで、最大550MB/sの転送速度を実現できたとしている。
また、解析機能も向上している。これまでのプロトコルアナライザは、いったんバッファに取り込んだ通信データをすべてホストPCに転送するまで、解析することができなかった。U4611A/U4611Bでは、データをすべて転送する必要がなく、任意の部分のみ転送すればすぐに解析が行えるようになっている(図2)。また、これまでは、通信データのトレースバッファへの転送中や保存中は解析ができなかったが、U4611A/U4611Bでは可能だという。さらに、通信データの各種イベントのサーチは、ハードウェアで高速に行うことができる。
この他、U4611A/U4611Bを、SAS/SATAに対応したプロトコルアナライザ「U3051B/U3052A」(SerialTek製)と接続して使用すれば、同じGUI(Graphical User Interface)上で、USBとSAS/SATAのデータを一度に確認することも可能だという(図3)。
U4611A/U4611Bの外形寸法は、幅15.3cm×高さ7.8cm×奥行き22.8cm。両製品とも2011年10月末から出荷を開始する予定である。販売価格(税抜き)は、U4611Aが79万865円からで、U4611Bが190万6159円から。
また、アジレントは、USB3.0に対応したプロトコルジャマー「U4612A」も併せて発表した。PCなどのホストと、USBメモリなどのデバイスの間に接続し、意図的にエラーを発生させることで、エラーが起こったときの機器の動作を確認できるというもの。U4612Aも2011年10月末に出荷を開始する予定で、税抜き価格は230万5872円からとなっている。
(村尾 麻悠子)
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