中国地デジ対応の復調/誤り訂正用IC、受信感度と低消費電力性能に優れる:ラピスセミコン ML7109S
中国の地上デジタル放送規格に対応したラピスセミコンダクタの復調/誤り訂正用IC「ML7109S」は、放送波の受信感度に関連するAWGN特性や都市部での受信率に関連するダイナミックマルチパス特性が優れている。受信時の消費電力も270mWに抑えた。
ラピスセミコンダクタは2011年12月、中国の地上デジタル放送規格であるGB20600-2006(DTMB:Digital Terrestrial Multimedia Broadcasting)に準拠した放送波を受信する際の復調/誤り訂正に用いるIC「ML7109S」を発表した(図1)。同社が日本国内の地上デジタル放送向けに提供してきた受信ICの技術と、親会社であるロームと精華大学の技術提携の成果によって実現した製品だという。中国市場向けのデジタルテレビ、セットトップボックス、USBタイプのテレビ放送受信ドングルなどに向ける。サンプル出荷は、価格600円で既に開始している。2012年1月から順次量産を立ち上げる予定だ。
ML7109Sは、中国の信息産業部が規定する中国国家標準受信機規格(GB/T 26685-2011およびGB/T 26686-2011)の各伝送モードの受信に必要なC/N比(搬送波対雑音比)に対して、高い余裕度を備えている。特に、「放送波の受信感度と関連するAWGN(加算性白色ガウス雑音)特性や都市部での受信率と関連するダイナミックマルチパス特性が優れている」(同社)という。また、各回路の動作周波数を最適化するなどして、受信時における消費電力を標準270mWまで低減した。さらに、復号処理に必要なメモリチップ(SDRAM)をICパッケージ内に搭載している。
その他の仕様は以下の通り。電源電圧は、入出力インタフェース部が3.0〜3.6Vで、コア部が1.1〜1.3V。動作温度範囲は−20〜85℃。パッケージは、外形寸法が9mm角で端子数64本のWQFNと、外形寸法が14mm角で端子数100本のQFPの2種類を用意している。
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