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超高速無線がSDメモリーカードに載る、パナソニックがWiGig対応モデルを提案カーエレ展/EV・HEV展 無線通信技術

パナソニックは、音楽や映像をといった大容量のマルチメディアコンテンツを車内で無線伝送することを想定したSDメモリーカードを提案した。想定している無線通信方式のデータ伝送速度は、1Gビット/秒に達する。

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 伝送速度を高速化したSDメモリーカードと、1Gビット/秒に達する超高速の無線通信技術を組み合わせれば、車内で大容量マルチメディアコンテンツをやりとりする利用シーンが変わる――。

 パナソニックは、60GHz帯を使った高速無線通信技術である「Wireless Gigabit Alliance(WiGig)」方式の通信モジュールをSDメモリーカードに載せるという新たなコンセプトを、「第4回国際カーエレクトロニクス技術展(カーエレ展)/第3回EV・HEV駆動システム技術展(EV・HEV展)」(2012年1月18〜20日、東京ビッグサイト)で紹介した。

 例えば、音楽や映像をといった大容量のマルチメディアコンテンツを車内でやりとりすることを想定したもの。音楽や映像を入れたSDメモリーカードを車内の携帯型メディアコントローラに挿し込み、このコントローラを車内のフロントまたはリアディスプレイに向けることで、大容量データをわずかな時間でワイヤレス伝送させることができる(図1)。

 60GHz帯の電波は直進性が極めて高い。このため、メディアコントローラを向けた先にあるディスプレイにコンテンツを送るといった直感的な操作が可能だ。この他、走行距離やタイヤ圧といった車両の状態をフロントパネルに挿し込んだSDメモリーカードに集約するといった用途もある。

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図1 超高速無線とSDメモリーカードを組み合わせたコンセプトを紹介するデモの様子

 今回はコンセプトを紹介しただけで、実際にWiGig対応の無線通信モジュールをSDメモリーカードに載せて動かしたわけではない。しかし、SDメモリーカードの高速化と、WiGig規格の実用化は着実に進んでいる。同社が提案したコンセプトを製品化する準備が整うのは、そう遠くないはずだ。

 まず、SDメモリーカードの新規格である「UHS-II」が2011年1月に発表され、伝送レートは最大312Mビット/秒に高速化した。2012年末までには、対応製品が市場に登場する見込みである。一方で、WiGig方式をベースにした国際標準規格「IEEE 802.11ad」は、2011年11月にドラフト5.0版が完成した。現在は、規格策定の最終段階に入っており、2012年12月には標準化作業が完了する予定である。

 「今回見せたコンセプトを具現化したSDメモリーカードは、2013年夏には形になって出てくる見通しだ。今年から自動車メーカーなどに今回のコンセプトを提案していきたい」(同社の担当者)と語った。

 現在、東芝やEye-FiがWi-Fi対応の無線通信モジュールを載せたSDメモリーカードが既に製品化している(関連記事)。この他、ソニーが主導する近距離の高速無線通信技術「TransferJet」を載せたSDメモリーカードや、NFC(Near Field Communication)を載せたmicroSDカードなどが提案されている。ただ、60GHz帯の無線通信モジュールをメモリーカードに載せようという提案はこれまで無かった。

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図2 WiGigモジュールを載せたSDメモリーカードのイメージ 伝送距離を1〜3mと限定し出力電力を抑えることや、アレイアンテナを必要とするビームフォーミングを使わないといった取捨選択をすることで、1cm角程度のスペースに無線通信機能を実装できる。

 「WiGig規格に対応したRFトランシーバ部やベースバンド部、アンテナは、SDメモリーカード内部のわずかなスペースに十分に納めることができる」(同社の担当者)という(図2)。60GHz帯の電波は他の低い周波数帯域に比べて、周囲の物体による損失が大きい。無線通信モジュールを入れたSDメモリーカードを機器に挿した状態では、周囲の物体の悪影響で電波が機器の外に飛ばなくなるという懸念がある。これに対しては、「SDメモリーカードを挿すスロットから電波が出るような指向性のアンテナを設計することで、周囲に電波を飛ばすことができるだろう」(同社の担当者)と説明した。

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