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高線形の広帯域I/Q復調IC、複数の通信規格/周波数帯に1チップで対応リニアテクノロジー LTC5585

入力周波数範囲が700M〜3GHzと広いため、LTEやW-CDMA、TD-SCDMAといった複数の通信規格に対応でき、国や地域によって異なるさまざまな周波数帯の信号を復調することが可能だ。

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 リニアテクノロジーは、高周波(RF)入力の周波数範囲が700M〜3GHzと広く、高い線形性を備えたI/Q信号復調器IC「LTC5585」を発売した(図1)。携帯電話の基地局などにおいて、ダイレクトコンバージョン方式の受信回路でI/Qベースバンド信号を取り出したり、送信信号からパワーアンプの歪み補償(Digital Pre-Distortion:DPD)に使うフィードバック情報を抽出したりする用途に使える(図2)。入力周波数範囲が広いため、LTEやW-CDMA、TD-SCDMAといった複数の通信規格に対応でき、国や地域によって異なるさまざまな周波数帯の信号を復調することが可能だ。「このI/Q復調ICを採用すれば、通信規格や仕向け地の異なる基地局の間で高周波処理部のハードウェアを共通化しやすくなる」(同社)という。

図1
図1 高線形の広帯域I/Q復調IC「LTC5585」(出典:リニアテクノロジー)

 線形性については、例えば1.95GHzにおいて入力第3次インターセプトポイント(IIP3)で25.7dBm、入力第2次インターセプトポイント(IIP2)で60dBmを確保した。この他、復調器としての主な特性は以下の通り。変換利得は2.4dB、ノイズフィギュア(NF)は12.7dB、I相とQ相の振幅の不整合は0.05dB、位相の不整合は0.7度である(いずれも1.95GHzにおいて)。

 IIP2は調整機能とI/Q出力のDCオフセット除去機能を搭載したことも特徴となっている。IIP2の調整機能については、未調整の状態では上記の通り60dBmのところ、調整を施すことで80dBmまで高めることができるという。DCオフセット除去機能を使えば、受信経路のダイナミックレンジを広げることが可能だ。

 単一の5V電源で動作し、消費電流は200mA。4×4mmの24端子QFNパッケージに封止した。RF入力信号の差動変換用のトランス(バラン)をパッケージ内に搭載することで、外付け部品の点数を削減している。1000個時の参考単価は598円(税込み)から。

図2
図2 送信アンプのひずみ補償で所要帯域が広がる 「LTC5585」は、受信側の周波数変換に加えて、送信側のひずみ補償にも使える。ひずみ補償に使うフィードバック情報を抽出する際には、送信信号の高次高調波まで取り組む必要があり、例えば変調帯域幅が60MHzの信号に対し、5次高調波まで取り込もうとするとフィードバック経路は300MHzの帯域幅を確保しなければならない。そこで、広帯域のI/Q復調器を活用できる。(出典:リニアテクノロジー)

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