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さらば健康被害! LED照明のちらつきを簡単に測るWired, Weird(3/3 ページ)

照明用のLED電球がスーパーやコンビニでも販売される時代になり、価格も1000円程度と手ごろになった。その一方、LED照明で目が疲れたり気分が悪くなったりしたという報告もある。原因はちらつきだ。部品代わずか数十円の簡易光センサーで、購入前にLED電球のちらつきを確認すれば、健康被害を回避できる。

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LED照明のちらつきを実測

 それではいよいよ、この簡易光センサーを使って、LED照明のちらつきを検証していこう。

 その前にまず、先ほどの疑惑を解消しておきたい。つまり、携帯電話機のカメラでしまが見えた蛍光灯の光を確かめる。図6が、簡易光センサーに蛍光灯の光を当てて、出力電圧をオシロスコープで観測した時の様子だ。この波形が、蛍光灯の光出力の波形に相当する。

図6 蛍光灯の光の波形
図6 蛍光灯の光の波形 縦軸は電圧で0.5V/目盛り、横軸は時間で5ms/目盛りである。 (クリックで画像を拡大)

 明るい時は約1.2Vの電圧が発生している。この波形から読み取れるように、蛍光灯の光は電源(商用の交流電源)の周波数の2倍の周波数で明るさが変動している。しかし、消灯している期間はないため、人間がちらつきを感じることはないと考えられる。

 次は、本連載のバックナンバー「LED照明のリスク」で紹介した市販の安価なLEDライトの光の波形を見てみよう。図7がそれだ。スイッチをオンにしていても、実際には光が消えている期間が半分以上あり、電源周波数の2倍の周波数で光が“点滅”している。これはちらつきがあるライトの悪い例であり、この光の中で長時間作業すると健康被害を受けてしまうだろう。

図7 市販の安価なLEDライトの波形
図7 市販の安価なLEDライトの波形 (クリックで画像を拡大)

 次は、やはりバックナンバーの「無効電力を有効利用するLED照明」で提案したLED照明の波形である(図8)。電源の充放電の電圧変動に伴って明るさが変動しているものの、消灯している期間はないので、ちらつきは発生していない。またこの結果からは、LED照明の電源の電圧変動が光センサーの出力波形にきちんと反映されていることが読み取れるので、この方法は光の測定方法として非常に有効であると感じた。

図8 過去に本連載で紹介した「無効電力を有効利用するLED照明」の波形
図8 過去に本連載で紹介した「無効電力を有効利用するLED照明」の波形 (クリックで画像を拡大)

 最後に、市販のLED照明で蛍光灯形の品種を測定した波形を紹介する(図9)。これは図6に示した蛍光灯の光と類似しており、明るさは変動しているものの消灯している期間がなく、従ってちらつきはない。ちなみにリップル率という計算手法があり、その値が小さいほど光の変化が少ないクリアーな光だといえる。図9からは、リップル値が1で平均値が4と読み取ることができ、リップル率は1÷4=0.25と計算できる。これは十分に小さい値だといえるだろう。

図9 蛍光灯形の市販LED照明の波形
図9 蛍光灯形の市販LED照明の波形 縦軸は0.2V/目盛りである。 (クリックで画像を拡大)

 このように、簡単な光センサーでLED照明のちらつきを正確に測定することが可能である。LED照明を購入する際にこれで正確に評価して商品を選べば、健康被害を心配せずに済むはずだ。

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