新規格USB3.0、計測面ではどう変わった?:高速シリアル・インターフェイス入門(5)(3/4 ページ)
今回は、USB3.0の概要とその計測例をいくつか示します。USB3.0は最新の規格なので、半導体技術だけではなく、計測技術も含めて新たな手法を用いています。
イコライザ
USB3.0で新しく導入された技術に、イコライザというものがあります。実際の高速シリアル・インターフェイスにおいては、すでにいくつか利用されており、例えばHDMIにおいては、ケーブル・イコライザとして規定されています。イコライザは、デエンファシスと同様に伝送中に生じるISIを補正する目的で用いられますが、デエンファシスとの違いは、トランスミッタ側ではなくレシーバ側で用いられることです。
イコライザの方式にはさまざまなものがあり、実際に採用するイコライザはメーカーが自由に決めていいことになっています。しかしながら、USB3.0規格の中では、計測用にReference EqualizerとしてCTLE(Continuous Time Linear Equalizer)が図6のように規定されています。高域で減衰した信号強度を補うためにブーストしていることが分かります。
先ほど、図4でISIが大きくなっていたエミュレーション波形に、このCTLEを適用してみたものを図7に示します。図4で顕著だったISIの影響が消えているのが分かります。
アイパターン
USB3.0もPCI Expressと同様にアイパターンを用いた信号品質評価が行われます。図8にはUSB3.0のアイパターンを示しています。規格の中では、アイパターンのEye Heightの最小値が100mVと規定されています。この測定は、上記の手順どおり、トランスミッタの出力で捕捉した信号波形にReference Channelのエミュレーションを行い、さらにCTLEのエミュレーションを適用して判定します。
テスト・フィクスチャ
テスト・フィクスチャに関しては、上記で述べたようにReference ChannelボードがUSB-IF(USB Implementer Forum)で用意されることになっています。またオシロスコープなどの計測機器の入力コネクタがSMAコネクタであるので、USB3.0コネクタとSMAコネクタの変換用のBreak Outフィクスチャと呼ばれるテスト・フィクスチャが別途必要となり、これらに関しては計測器メーカーが用意することになっています。
コンプライアンス試験
USB3.0では、USB3.0のSpecificationに基づいて試験方法を記載したElectrical Compliance Test Specification に準拠して行われますが、2009年11月執筆時、Revision 0.9のdraftが最終段階にあります。正式版である1.0は来年リリースの予定にであり、USB2.0と同様のCertification Workshopの第1回開催は、来年第2四半期に予定されています。
Test Specificationでは細かな試験の内容が記載されていませんが、CRUと同様にUSB 3.0 Electrical Compliance Methodology White Paper Revision 0.5が出されており、詳細な内容が示されています。Eye Patternの計測などではUSB-IFが作成したSIGTESTと呼ばれるプログラムを用いて評価することが求められています。
図10にはレクロイのコンプライアンス自動試験パッケージQualiPHY-USB3のメインメニューを示していますが、USB-IFから配布されたDLLバージョンのSIGTESTが組み込まれています。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.