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“どこでも充電”を実現するワイヤレス充電技術とは?いまさら聞けないデジタル技術の仕組みを解説(1/2 ページ)

モバイル機器を通勤中に充電、カフェで充電――。“すき間時間”を利用して携帯電話機などを充電できる、便利な技術がワイヤレス充電です。今回は、電磁誘導方式のワイヤレス充電の仕組みを解説します。

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@IT MONOistで掲載された記事を転載しています



登場人物の紹介

乙女
文系女子

デジタル製品に興味はあるが、細かいスペックの話をされるとよく分からない。結局、デザイン重視で選びがちになるが、どうせ買うなら、きちんと製品の性能を理解して自分に合った良い物を買いたいという思いがある


ムサシ
理系男子

自称デジタル人間。スケジュール管理に紙なんて論外。デジタル製品のことなら、細かいICの隅々まで、何でもこい。基本的には物静かだが、得意分野となると熱く語り始める。女の子に「すごい!」といわれると、やる気が出る



ワイヤレス(非接触)充電技術とは

 通勤/通学中の電車内で壁際の充電器に携帯電話を置いて充電、またはカフェで時間をつぶしている間にテーブル上にPCを置いて充電など、そんなすき間時間を利用した野外での充電を可能にするのが、ワイヤレス充電技術です。

 端子やコネクタなどの金属接点を接続しなくて も、充電器の上に機器を置くだけで充電が完了。また、ほかの機器との共有も技術的には可能なため、携帯電話の充電器でデジカメやPCも充電するというように、さまざまな機器の充電をたった1つで行うこともできるのです。

 なお、ワイヤレス充電技術には電磁誘導方式/電波受信方式/共鳴方式という3つの方式がありますが、今回はすでに実用化されているワイヤレス充電技術として、電磁誘導という物理現象を利用した電磁誘導方式について解説します。

電磁誘導とは

図1 電磁誘導のイメージ
図1 電磁誘導のイメージ
無接点(端子なし)で電力を供給できる

 電磁誘導は19世紀にイギリスの科学者であるマイケル・ファラデー(Michael Faraday)によって発見された技術(物理現象)です。2つの離れたコイルのどちらか一方に電流を流すと、もう片方のコイルにも電流が流れ、接触していなくても電気を流すことができます。身近なものでは、歯ブラシやシェーバー(ひげ剃り)などで、以前から利用されていました。

 充電時に金属接点を使用しないため、防水や防塵が可能となり、また従来のようにサビたり汚れたりして充電できなくなるという心配がありません。

図2 携帯電話を使用したデモンストレーション
図2 携帯電話を使用したデモンストレーション
端末に登録されたIDを充電器側で認識した後に充電を開始します
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へぇ。金属が接していないのに電気が流れるなんてすごいねぇ。


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そうでしょ。でも、この現象(電磁誘導)を利用して携帯電話みたいに大きな電力を必要とする機器でも充電可能になるまでには、さまざまな工夫がされてきたんだよ。


 従来の電磁誘導は、送る側と受け側での効率が悪く、送った電気のほとんどが熱に変わってしまっていました(電力伝送効率は10〜20%)。そのため大きな電力を送ろうとすると、コイルが熱く発熱してしまうという課題がありました。よってこれまではPHSやトランシーバなどの低電力で充電できる機器にのみワイヤレス充電が採用されており、また急速充電ができなかったために1台当たりの端末充電時間もPHSで数時間かかっていました。

 現在では、受け側と送る側、双方のコイル周波数をマッチングさせ、かつデバイス自体の効率を向上させたことで、電流が入るところからデバイスに伝わるまでの全体の電力伝送効率が70%以上となっています。 充電時間も、端子を接続して行う充電と変わりません。

モジュールとコイル
図3 伝送側に搭載されているモジュールと一次コイル(画像=左)と、受信側に搭載されているモジュールと二次コイル(画像=右)
送信側が充電器に、受信側が携帯電話本体に搭載されている。携帯電話の場合は本体のデザインに合わせてモジュールの搭載位置を変えられるよう、コイルとモジュールを分離させている
ワイヤレス充電技術のブロック図
図4 電磁誘導方式を利用したワイヤレス充電技術のブロック図(提供:セイコーエプソン)
左が伝送する充電側(一次モジュール)で右が受信する端末側(二次モジュール)
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逆に、この熱が出てしまう現象を利用したのが、オール電化で有名なIH調理器だよ。


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金属を乗せると熱くなるってやつね。でもそれって、人体には影響ないの?


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乙女ちゃん、良いところに気がついたね。確かに、充電中に誤って金属製のストラップなんかがケータイと充電器の間に挟まったら、とても危ない。だからそんな場合に備えて、危険を察知する機能が付いているんだよ。

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