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人体を「磁界」から守れ――可視化ツールが登場テスト/計測(2/2 ページ)

磁界は体に良いのか悪いのか。これは場合によって異なる。変動する強い磁界には明らかな悪影響がある。では、弱い低周波磁界ならどうだろうか。今後は、電気自動車(EV)や太陽光発電システムのインバータなど弱い低周波磁界を帯びた製品が増えていく。ノイズ研究所など3社は、磁界を可視化するシステムを開発した。

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怪しい部分を選んで測定できる

 同システムの特徴は、技術者が磁界センサーを持ち、機器の表面に沿って自由に動かすことで、機器が放出する低周波磁界を測定できることだ。このため、機器の形状を問わずに測定できる。機器の画像の上に、低周波磁界の強度を重ねて画像化し、周波数情報とともに記録できる。従って、開発中に何度も試作品を作り、そのたびに測定して、改善結果を確認するような使い方に向いているという(図2)。



図2 蛍光灯の低周波磁界を測定したところ 蛍光灯の首の部分の磁界が強く表示されており、ここにインバータが内蔵されていることが分かる。図左中央は測定風景。

何を改善したのか

 同システムは、3種類の主要機材からなる。日置電機のループコイル内蔵の磁界測定センサー「FT3470-91」と、ローデ・シュワルツ・ジャパンのオシロスコープ「RTO1004-NSL」、ノイズ研究所の磁界可視化ソフトウェア「EPS-02」である。

 それぞれ既存の製品に対して、低周波磁界測定向けに改良を加えたものだ。磁界測定センサーはX、Y、Z軸の磁界を測定し、合成実効値を出力する機能を備えている。ただし、既存品はケーブルが1.5mと短い。そこで自動車の車内の測定などにも向くようケーブルのインピーダンスを低くし、5mに延ばした。

 オシロスコープの入力とFFT処理の性能は既存品でも十分だったという。「ローデ・シュワルツ・ジャパンのオシロスコープはFFTが高速で、磁界センサーから送られてくる3チャネルの測定結果を同時に処理できることが魅力的だった」(ノイズ研究所の石田氏)。しかし、データの出力速度が不足していたため、ファームウェアに改善を加えた。

 PC上で動作する磁界可視化ソフトウェアでは、金沢大学理工研究域電子情報学系教授の八木谷聡氏が保有する特許*3)を利用して、改良を加えた。センサーの位置をウェブカメラを使って画像として捉えることに関する特許だ。なお、ウェブカメラは数千円の市販品で十分だという。

*3) 八木谷氏は、宇宙空間で人工衛星が発する電磁界が衛星自体に与える影響を可視化するために、ソフトウェアを開発し、特許を取得したという。

 空間磁界可視化システムの今後の改良目標は、表示の3次元化だという。現在のシステムでは2次元画像に磁界データをオーバーレイ表示している。磁界センサーの位置を捉えるカメラを2台に増やして、3次元表示に拡張する計画だ。


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