第7世代のIGBT、ルネサスが13品種を製品化:TECHNO-FRONTIER 2012 パワー半導体
ルネサス エレクトロニクスは、導通損失とターンオフ損失がいずれも低い第7世代のIGBTを製品化した。太陽光発電システムなどに向ける。
ルネサス エレクトロニクスは、同社の第7世代に相当するIGBTを、「TECHNO-FRONTIER 2012(テクノフロンティア2012)」(2012年7月11〜13日、東京ビッグサイト)で展示した。太陽光発電システムに用いるパワーコンディショナーや産業用モーターのインバータなど高電圧・大電流の用途に向けたIGBTである。650V品と1250V品、合わせて13品種を用意した。コレクタ電流は30〜400Aである。
第7世代IGBTの開発目的は、飽和電圧(VCE)を高めつつ、負荷短絡耐量(tsc)を長くすること。飽和電圧が下がれば、導通損失を低減できる。負荷短絡耐量を長くできれば、無制限に電流が流れた場合にもより長い時間、破壊は起こらず、信頼性が高まる。
ただし、IGBTは、一般に飽和電圧と負荷短絡耐量がトレードオフの関係にある。そこで第7世代品では「p型層とn型層のドープ濃度調整によって導通損失を低減し、飽和電圧を10〜20%引き下げることに成功した(図1、図2)。負荷短絡耐量は、表面セル構造を最適化することによって、第6世代の8μ秒から今回10μ秒に引き上げることができた」(同社)。
図2 IGBTのウエハーと素子構造 ウエハー構造のうち、左側が第5世代品(280〜300μm厚)、右側が第7世代品である。第7世代品のウエハー厚は第6世代と同じ70〜80μm(600V品の場合)である。
同時に表面構造の最適化とドープ濃度調整によって、帰還容量(Crss)を10%低減できたため、第6世代品よりも高速にスイッチングできるという。「立ち下がり時間(tf)は600V品で80ns、1250V品で130nsと短くなった」(同社、図3)。
第7世代品のサンプル出荷は2012年7月から開始した。2012年9月から量産を始める。当初は、ほとんどの品種をウエハーやダイとして販売する。パッケージに封止した品種は当初は1品種(TO-247パッケージ、耐圧650V、100Aまたは50A)にとどまるが、順次増やしていく予定である。
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