テクトロが高性能オシロの解析機能を大幅拡充、シリアル規格のデバッグ強化:テスト/計測 オシロスコープ
オシロスコープの最大手メーカーであるテクトロニクス社は、同社既存の高性能機種のファームウェアにアップデートを施し、デバッグ/解析機能を大幅に拡充した。各種シリアルバス規格のデバッグ機能を強化し、ユーザーである機器設計者の所要工数を短縮する狙い。
テクトロニクス社は、同社既存の高性能オシロスコープ群のファームウェアにアップデートを施すとともに、追加機能を提供するオプションソフトウェアを大幅に拡充した。ユーザーである機器設計者が各種シリアルバスを機器に組み込む際のデバッグ作業を容易化し、所要工数を削減する狙い。具体的には、PCI ExpressやCAN/LIN、FlexRay、MIL-STD-1553、MOSTなどのシリアルバス規格に向けた機能を拡充する。対象となるオシロスコープは、同社の「DOP7000C」、「MSO/DSA/DPO70000C/D」、「MSO/DPO5000」の各シリーズである。2012年7月23日に発表し、即日提供を開始した。
多岐にわたる拡充内容のうち、波形を取り込む機能では、「デコード/トリガ/サーチ機能」で対応可能なシリアルバス規格を増やし、新たにFlexRayとMOST、2線式(2-Wire)SPI、MIL-STD-1553を追加した。さらに、従来から対応していたPCI Expressについても機能を拡充し、Gen1、2、3の全ての世代で物理層のデコードを実行できるようにした。8B/10Bのデコード機能を強化しており、ユーザーは設計検証やトラブルシューティングの所要時間を削減できるという。
トリガについては、「ビジュアル・トリガ」と呼んで提供している機能を強化した。この機能は、波形表示画面上でユーザーが領域形状を指定してトリガ条件を設定できるというもの。従来はトリガ領域を指定する際に使える形状が三角形と四角形、五角形のポリゴンに限られていたが、今回の強化でその制限が無くなった。ユーザーはマウスやタッチスクリーンを操作して、任意の形状トリガ領域を指定できる。
取り込んだ波形の解析機能では、ジッタ/タイミング解析ツール「DPOJET」を改良した。具体的には、複数レーンのシリアルバスなどでレーン間のクロストークに起因して生じるジッタ成分「BUJ(Bounded Uncorrelated Jitter、有界非相関ジッタ)」を正しく特定するアルゴリズムを搭載した。テクトロニクス社によれば、これにより、サンプリング型ではないリアルタイム型のオシロスコープでも、トータルジッタの測値からクロストーク起因の成分を分離したり、他のジッタ源からISI(シンボル間干渉)を分離することが可能になるという。
有償オプションとして提供するソフトウェアの価格は、例えば「Option DJA(拡張ジッタ/アイ解析 DPOJET Advanced)」が148万円、「Option MOST(MOSTコンプライアンス/デバッグ・ソリューション)」が29万8000円、「Option VET(ビジュアル・トリガ/サーチ)」が63万8000円(いずれも税別価格)。ただし無償で提供するソフトウェアアップデートもある。例えば、ユーザーがThe MathWorksの技術計算ソフトウエアツール「MATLAB」を使って波形データを独自のアルゴリズムで解析できる機能などである。
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