連載
知っておきたいUSB3.0まとめ:いまさら聞けないデジタル技術の仕組みを解説(2/2 ページ)
USB2.0に比べてデータ伝送速度が約10倍になった新しい通信規格USB3.0。今回は、このUSB3.0について解説します。
必要なデータレートを効率良く提供、それがSuperSpeed
これまでのUSBでは、データの送受信にブロードキャストと呼ばれる方式を採用していました。ブロードキャスト方式は、接続されている機器すべてと通信を行い、ホストとデバイス間でのデータのやりとりを、指令が送られてきた順番に処理しています。また、ホスト側と端末側でポーリング方式と呼ばれる確認作業(データが伝送できるかどうか)を行っていました。USB3.0では、通信したい機器とのみ1対1の通信ができる(ポーリングが不要な)ユニキャストと呼ばれる方式を採用し、効率の良いデータ伝送を実現しています。
よって、現行のUSB2.0では1つのPCにスピーカーやWebカメラ、マウス、外付けHDD……など、USB接続の機器を複数つないでいると、常にそれらすべての機器を相手に処理し続けているため、接続機器が増えるほど本来の性能(最高480Mbps)をフルに発揮できなくなり、結果的に処理速度が遅くなっていましたが、USB3.0では個々の機器と1対1で通信を行うため、効率よくデータ伝送ができます。
また、ユニキャスト方式では、必要な通信しか行わないため、ブロードキャスト方式と比べて使用する電力も低くなります。
図5 USB3.0とUSB2.0の物理層の違い(仕様) プロードキャスト方式はパケットを発行すると、すべてのデバイスに同時にデータが送られる。デバイス側では、そのデータが自分のものかを判断し、レスポンスする。一方、ユニキャスト方式は、ハブがどのポートにデータを送るのかを認識し、そのラインだけ送るように制御している。よってこれまではできなかった、あるターゲットにだけ、大容量のデータを伝送、といったことも可能になる
ふーん。つまり、USB3.0は常に必要な分だけのパケットを送受信できるんだね。
まぁ、そういうことだね。
図6 USB2.0(図=上)とUSB3.0(図=下)のデータ転送方式の比較 ホストからはアウト(送信)の場合TokenとDataを出して、相手側が受信できたらHndskを返す。同じ線にのっているので、後のHndskが来るのを待たなければならず、時間がかかる
デモンストレーション
USB3.0だと、どれくらいの伝送速度が出るかを確かめてみた。
図7 SSDをSATA接続したときのベンチマーク結果(図=左)と、USB3.0接続したときのベンチマーク結果(図=右) FPGAを使用。その中にSATAのホスト回路と、USB3.0のデバイス回路が入っている。SATAの信号を変換し、USB3.0に転換。受けとったデータをFPGAでSATAに変換している
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- これから世界を席巻する!? USB Type-Cを知る
これから、世界を席巻するであろう新しいコネクタ『USB Type-C』(USB-C)。USB前夜や歴代USBコネクタを振り返りながら、素晴らしいUSB Type-Cを紹介していこう。 - “USB 3.1のすべて”を実現するUSB Type-C ポートコントローラーを発表
サイプレス セミコンダクタは2015年2月10日、USB Type-C ポートコントローラー「CCG1」を発表した。最大100Wの給電を実現するUSB Power Deliveryなど、USB Type-Cで実現可能な多くの機能に対応したポートコントローラーとなっている。