活線挿抜が可能な車載電池監視IC、日立超LSIシステムズが開発:ET2012
日立超LSIシステムズは、ET2012で、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などに搭載される大容量二次電池向けの電池監視IC「MD6902」を展示した。デイジーチェーン接続に、活線挿抜が可能な容量結合型の差動伝送方式を採用していることを特徴とする。
日立超LSIシステムズは、「Embedded Technology 2012/組込み総合技術展(ET2012)」(2012年11月14〜16日、パシフィコ横浜)において、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)などに搭載される大容量二次電池向けの電池監視IC「MD6902」を展示した。
MD6902は、直列に接続した4〜12個の電池セルの電圧を、各セル個別に計測する機能を備えている。複数のMD6902をデイジーチェーン接続すれば、13個以上の電池セルから構成される大容量二次電池の電池セル電圧の計測にも対応可能である。デイジーチェーン接続には、耐ノイズ性の高い差動伝送方式を用いている。
最大の特徴は、このデイジーチェーン接続の差動伝送方式が容量結合型であるため、活線挿抜が可能なことだ。活線挿抜ができると、大容量二次電池システムの組み立てや、整備工場での検査などを行いやすくなるというメリットがある。さらに、デイジーチェーン接続した場合に電圧を計測できる電池セルの個数は、最大で384個まで対応している。384個の電池セル電圧の計測に掛かる時間も20ms以内と短い。
この他、自己診断機能などの搭載により、自動車向け機能安全規格であるISO 26262に準拠可能であるという。動作温度範囲は−40〜125℃である。
日立超LSIシステムズの大容量二次電池向けの電池監視IC「MD6902」を用いた展示。MD6902の評価ボードを2枚使って、各評価ボードに接続している、直列接続した12個の電池セルの動作を模擬する基板の電圧をきちんと計測できていることを示している。(クリックで拡大)
現在、大容量二次電池向けの電池監視ICは、Linear Technology、Maxim Integrated Products、Intersilなど海外のアナログ半導体メーカーが製品展開を先行させている。一方、日本の半導体メーカーは、これまでにラピス セミコンダクタ(旧OKIセミコンダクタ)が製品を発表していたが、最近になって東芝も参入を発表するなど、市場競争が加熱している。
日立超LSIシステムズは、携帯電話機やデジタルカメラなど1個の電池セルを用いる電池パック向けの監視ICでは高い実績を持つ。2011年11月開催のET2011では、これらの実績を基に、大容量二次電池向けの電池監視ICを開発する方針を表明していた。
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