RSがPCB設計ツールの最新版を発表、部品総数8万点の無償ライブラリと連携:アールエスコンポーネンツ デザインスパークPCB バージョン4.0
アールエスコンポーネンツのPCB設計ツールの最新版「デザインスパークPCB バージョン4」は、3つの新機能を備えている。最も特徴的なのが、8万点を超える電子部品をそろえたCADデータライブラリ「ModelSource」と連携していることだ。これにより、ユーザーは自身でライブラリを作成する必要がなくなるので、作業負荷を大幅に減らすことができるとしている。
工業用電子部品の通信販売を手掛けるアールエスコンポーネンツは2012年11月、同社が提供する無償のPCB設計ツール「デザインスパークPCB」の最新版となるバージョン4.0を発表した。デザインスパークPCBでは、あらゆるPCB回路図やレイアウト設計、製造用ファイルの作成が可能となっている(関連記事:RSがエンジニア向けコミュニティ「デザインスパーク」開設)。
8万点の電子部品がそろったCADデータライブラリ
デザインスパークPCB バージョン4.0は3つの新しい機能を搭載している。最も特徴的なのが、無償のCADデータライブラリ「ModelSource」と連携していることだ。アールエスコンポーネンツは、このライブラリをデザインスパークPCB バージョン4.0とともに発表した。
ModelSourceは、8万点を超える電子部品をそろえている。これまでも無償のライブラリは他社から提供されているが、部品数は多くても3000点ほどだったという。
具体的には、デザインスパークPCBの画面上にある「ModelSource」のボタンをクリックすると、ModelSourceにつながり、アンプやコンデンサといったカテゴリや特性、品番から電子部品を検索することができる。使いたい部品を選択すると、その部品のCADシンボルデータをPCのローカルディスクに保存できるので、あとはそのシンボルデータをドラッグアンドドロップで設計図に追加すればよい。ModelSourceは、PADS、OrCAD、Altiumなど20のCADフォーマットに対応しているため、ライブラリをダウンロードする際に、あるフォーマットから別のフォーマットに変換する必要はない。
アールエスコンポーネンツの担当者は、「設計ツールがModelSourceと連携していることで、ユーザーは自分自身でCADデータライブラリを作成する必要がなくなる。ライブラリの作成は非常に手間がかかる作業のため、ModelSourceとの連携機能は、そうした手間を大幅に削減できる」と主張する。
さらに、ModelSourceに掲載されている部品には、アールエスコンポーネンツの品番が登録されており、価格や在庫状況、発注した際の納期も確認できるようになっている。これまでは、ライブラリに部品をダウンロードしても、部品の価格などはわざわざカタログを使って調べなければならなかったため、新バージョンはこの点においても手間を省くことができる。
設計に使用した部品を一括で見積もる
残る2つの新しい機能が、「部品見積もり機能」と「基板製作見積もり機能」である。
部品見積もり機能は、設計図に使われている部品を一括で見積もりするというものだ。画面上に設けられた「BOM Quote」というボタンをクリックすると、アールエスコンポーネンツのWebサイトに接続され、設計図に使用した部品の一覧が表示される。その一覧表の中から使用したい部品を選択し、「見積もり」ボタンをクリックすると、見積書が出来上がる仕組みだ。
基板製作見積もり機能は、使用する基板の見積もりができるものである。「PCB Quote」のボタンをクリックすると、層数やピン数といった、設計図で使用した基板のパラメータ情報が表示される。ユーザーが発注数を選択すると、アールエスコンポーネンツが提携している基板メーカー各社の見積もりが出てくる*1)。なお、アールエスコンポーネンツが現在提携している基板メーカーは英国のメーカーのみだが、「日本のユーザーがより使いやすいように、日本の基板メーカーとの提携も考えている」(アールエスコンポーネンツ)という。
*1)発注は基板メーカーのWebサイトから行う。
アールエスコンポーネンツでエレクトロニクスマーケティング部門を統括するGlenn Jarrett氏は、「今回、デザインスパークPCB バージョン4.0に追加した新機能は、全てユーザーの要望に基づいて開発されたものだ。部品の検索や見積もり、購買といった作業の負担を減らし、エンジニアが、設計や製造などの創造的な仕事により多くの時間をかけることが可能になる」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.