フルデジタルスピーカー用オーディオ駆動IC、PC/スマホ周辺向け量産汎用品:トライジェンス セミコンダクター Dnote7S/7U
Dnote7S/7Uは、フルデジタルスピーカーを実現するオーディオ駆動ICである。PCやスマートフォンなどに接続する無線スピーカーやドッキングステーションへの組み込み向けに、国内の半導体ベンチャーであるトライジェンスセミコンダクターが開発した汎用の量産品だ。
フルデジタルスピーカー用信号処理技術「Dnote」(参考記事)の開発を手掛けるファブレス半導体ベンチャーのトライジェンスセミコンダクター(Trigence Semiconductor)は2012年11月、同技術に対応するスピーカー駆動IC「Dnote7S/7U」を発表した。これまで同社は、開発した技術をIP(知的財産)として特定の機器メーカーに個別に供給しており、例えばクラリオンが車載用フルデジタルスピーカーに採用した事例が公表されている(参考記事)。今回発表した駆動ICは、PCやスマートフォンなどに接続する無線スピーカーやドッキングステーションへの組み込み向けにトライジェンスが開発した汎用の量産品であり、より広範な機器メーカーに売り込むことを目指す。
今回の駆動ICは、オーディオ信号の入力インタフェース回路の他、Dnote対応のオーディオ信号処理回路、デジタルスピーカー駆動回路、内部電源生成回路などを集積しており、「デジタルオーディオの音源データを途中でD-A変換せずに、スピーカーまでデジタル信号のまま伝える、“フルデジタル”のオーディオシステムを1チップで実現できる」(同社)という。オーディオ入力インタフェースは品種によって異なり、Dnote7SがI2S、Dnote7UがUSBである。いずれも分解能が24ビットでサンプリング周波数が96kHzのオーディオ入力に対応する。
スピーカー駆動ICとしては低い3.3Vの電源電圧で動作し、4Ωのスピーカーに対して最大5.4W(rms値)を供給することが可能だ。「従来のアナログ駆動ICでは、このように低い電源電圧だと600〜700mW程度しか出力できない。高い電力効率が得られるDnoteの特長であり、電池で駆動する機器に適用すれば、電池の所要本数を減らしたり、同じ本数でも駆動時間を延ばしたりすることができる」(同社)という。
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