ARMコア搭載FPGAをアルテラが出荷開始、ARMと共同開発の専用ツールも投入:アルテラ ARM DS-5アルテラ・エディション・ツールキット
SoC FPGAは、アルテラが最新世代の28nm FPGAで用意するARMコア混載品である。同社はその最初の製品のサンプル出荷開始を明らかにするとともに、ARMと共同で開発した新型ソフトウェア開発ツールも発表した。ARMコアとFPGAそれぞれ個別の専用ツールを使う場合に比べて、生産性を高められるという。
FPGA大手ベンダーのアルテラ(Altera)は2012年12月12日(米国時間)、アーム(ARM)のプロセッサコア「Cortex-A9 MPCore」をハードIPとして集積するFPGA製品群「SoC FPGA」として最初の製品となる「Cyclone V SoC FPGA」のエンジニアリングサンプル品の出荷を開始したと発表した。これは28nm世代の半導体プロセス技術を適用する同社の最新世代FPGA群のうち、低コストファミリ「Cyclone V」をベースにした品種で、集積規模が11万ロジックエレメント(LE)相当の「5CSXA6」である。
同社はSoC FPGAの概要を2011年10月に発表しており(参考記事)、その時点で「2012年の後半(7〜12月)にエンジニアリングサンプル品の出荷を始め、2013年の早い時期に量産を開始する予定だ」と説明していた。今回の発表で、SoC FPGAの製品化が当初の予定通り進んでいることをアピールする。
さらにアルテラは今回、SoC FPGA製品群に向けた専用の組み込みソフトウェア開発ツールも併せて発表した。同社とARMと共同で開発した「ARM Development Studio-5(DS-5)アルテラ・エディション・ツールキット」である。ARMの純正開発ツールとして普及しているDS-5をベースに、アルテラのSoC FPGAに対応する専用機能を追加したものだ。アルテラはこの新型ツールキットを「FPGA適合型(FPGA-Adaptive)の組み込みソフトウェアツール」と表現しており、こうしたツールは業界初だと主張する。
東京都内で開催した記者説明会では、日本アルテラ 代表取締役社長の日隈寛和氏(写真向かって左)と、米国のAlteraでVice President of Engineering for Embedded Processingを務めるTy Garibay氏(中央)、アーム セールスVPの内海弦氏(右)が登壇した。
この共同開発の背景や効果については、「SoC FPGAはユーザーに自社製品を市場で差別化できるという大きな付加価値を提供する半面、既存の組み込みソフトウェア開発ツールではデバッグが難しいという新しい課題をもたらす。今回発表するSoC FPGA専用の新型ツールキットは、その“デバッグの壁”を取り除くものだ」(米国のAlteraでVice President of Engineering for Embedded Processingを務めるTy Garibay氏)と説明した。なおARMが今回のように特定のチップベンダーに特化したツールキットの開発に携わるのは、これが初めてだという。
SoC FPGA専用ツールキットの概要である。SoC FPGAと単一の接続ケーブルで接続し、この単一のツール環境から、ARMプロセッサ部に閉じたデバッグと、FPGA部のハードウェアイベントが関連するデバッグの両方に対応することが可能だ。出典:Altera (クリックで画像を拡大)
このSoC FPGA専用ツールキットを使えば、ユーザーは組み込みソフトウェアの生産性を高めることができ、市場投入までの期間を短縮したり、開発コストを低減したりできるという。販売を手掛けるのはアルテラで、2つの形態で供給する。1つは、SoC FPGA専用ツールキットを要素として含む「アルテラSoCエンベデッド・デザイン・スイート(Altera SoC EDS)」で、995米ドル(米国内の参考販売価格)で2013年初旬に出荷を開始する。もう1つは、これにCyclone V SoC FPGAを実装した評価ボードを組み合わせた「アルテラCyclone V SoC開発キット」で、1495米ドルで2013年4月に出荷を始める予定である。
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