そもそも「マイコン」って何?:マイコン入門!! 必携用語集(1)(3/5 ページ)
マイコンを使いこなすために知っておくべき基本用語を毎回1つずつ取り上げて解説する新連載がスタート!! 第1回目の今回は、「そもそも“マイコン”って何?」という問い掛けから、マイコンの実態や応用分野、具体的な働きについて紹介します。
マイコンの仕事
家電製品の中でマイコンが担っている仕事は、それほど特殊なことではありません。主な例を挙げてみましょう。
(1)表示
エンドユーザーが電気製品の状態を知るには、表示は重要な機能です。動作状態を表示したり、動作していないときには、時刻を表示したりします。液晶ディスプレイやセグメント型のLEDディスプレイで文字を表示したり、単にLEDを点灯、点滅させて状態を通知するだけの製品もあります。ユーザーが電気製品を使う上で、無くてはならない機能です。
(2)音
最近ではおしゃべりをする電気製品(電子レンジや火災報知機など)も少なくありませんが、しゃべらなくても、音楽を流したり、ピッピッと電子音を出したりして、電気製品の動作状態をユーザーに知らせます。体温計や血圧計などの健康機器に多い機能です。
(3)モーターやバルブ(弁)の制御
マイコンは、モーターやバルブを制御するための信号を生成することができます。モーターの回転スピード・回転方向を変える信号や、バルブ(弁)を開け閉めする信号を作り出せます。また、テレビのリモコンで使う赤外線用の信号を生成できます。マイコンは内部で用意したこれらの信号を汎用入出力(GPIO)などの入出力端子を介して外部に出力し、モーターを実際に駆動する大電力素子や赤外線信号を実際に送出する光素子を制御します。
(4)電気信号の測定と出力
センサー素子などが出力する電圧を測ることができます。サーミスタのような温度センサーをマイコンにつなげば温度を測定できますし、光センサー(輝度センサー)を接続すれば輝度を測ることが可能です。もちろん、電池などの電圧も直接測れますので、電池の交換時期を表示することができます。マイコンはこれとは逆に、所要の電圧を出力することも可能です。一定電圧を出すことができますから、他の電気素子に対して基準電圧を供給する“リファレンス電圧源”の役目もできます。こうした機能を実現する際には、マイコンの中に集積された、A-D変換器をはじめとする各種のアナログ周辺回路を活用します。
(5)通信
最近では、PCのみならずさまざまな機器でUSBインタフェースを搭載することが欠かせなくなっています。このUSBも一種の通信機能です。この他にもマイコンには、単純なデータを他のICとやりとりする機能が付いています。“通信機能の固まり”とも言えるのが自動車です。現代の自動車の中には、数え切れないほどのマイコンが使われています。それらのマイコン1つ1つがCAN(Controller Area Network)やLIN(Local Interconnect Network)といった標準規格に対応する通信インタフェースを介して連携し、自動車全体を1つのシステムとして動作させています。
(6)演算・判断機能
これがマイコン本来の機能です。上記(1)〜(5)を統合して機能させる際に、演算を実行するとともにその結果に基づく判断を下す役割を担い、機器の構成要素をつかさどる“司令塔”の働きをします。例えば、サーミスタの出力電圧を測定し、それを温度の情報に換算して表示したり、モーターの負荷を計算して、モーターの駆動能力を調節したり、複数の仕事を統合して1つの仕事としてまとめるのもマイコンの重要な仕事です。実際には、マイコンの中にあるCPUと呼ばれる中核回路がこの機能を担います。
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