「自動車分野は中核事業」、ルネサスが9コア搭載の車載情報機器向けSoCを発表:車載半導体(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクスの車載情報機器向けSoC(System on Chip)「R-Car H2」は、合計9つのCPUコアを搭載するなど、車載情報機器向けSoCとして「世界最高性能」(同社)を実現している。「PowerVR G6400」による画像処理能力の高さを示すデモンストレーションも行った。
画像認識エンジンの処理性能は4倍
次に、高機能な運転支援機能の統合を実現するため、新たに開発した画像認識エンジン「IMP-X4」をハードウェアとして集積している。R-Car H1に搭載した「IMP-X3」と比べて、処理コア数を2倍、動作周波数を2倍に高めており、合計で処理性能は4倍になっている。運転支援システムで重要な役割を果たす車載カメラ映像からの認識処理は、このIMP-X4で行う。このため、CPUやGPUで行っている他の処理に影響を与えないという。さらにIMP-X4は、画像処理や画像認識向けのC言語ライブラリであるOpenCVをサポートしているので、画像処理ソフトウェアの開発も容易である。
この他に、車両周辺に設置した4台の車載カメラの映像を合成して、自車両を上から見下ろす視点で周辺映像を表示するサラウンドビューを容易に実現できるような機能を搭載している。高品位(HD)カメラ対応のインタフェースと歪み補正機能をそれぞれ4チャネル搭載。さらに、BMWなどが開発を進めている、車載イーサネットを用いたサラウンドビューにも対応できるように、車載イーサネットの規格である「Automotive Ethernet AVB 1.0」に対応したIP(Intellectual Property)コアも搭載している(関連記事:『ルネサスの「R-Car」が次世代品で車載イーサネットに対応、量産開始は2015年』)。
現行83社の開発パートナーを倍増へ
最後に、ソフトウェア開発効率の向上は、オーディオ処理に用いるDSPと映像コンテンツを扱うビデオコーデックをオープン対応にすることで実現した。オーディオ処理用DSPは、TensilicaのIPコアの採用により、100以上のコーデックに加えて、「AAC+7.1Ch」や「AC3 5.1Ch」、「DTS HD Master Audio」といった高音質音源にも対応している。また、アプリケーションプロセッサでオーディオ処理する場合よりも、消費電力を大幅に抑えられる点も特徴となっている。
ビデオコーデックは、OpenMAXやGstreamerといったオープンソースのマルチメディアフレームワークとの標準インタフェースを備えている。処理性能も高く、1080p30のHD映像のエンコード/デコードを4系統同時に行える。例えば、Blu-ray Disc(H.264/1080p60)と地上デジタルテレビ放送(MPEG2/1080i60)の映像コンテンツをそれぞれデコードしながら、後席の乗員が持つスマートフォンに無線LANで映像を伝送するMiracast用にそれぞれの映像をエンコード(H.264/1080i60)できるわけだ。
R-Car H2を搭載する車載情報機器のソフトウェア開発環境も用意している。R-Car H2の評価ボード「Lager」とともに、QNX Softwareの「QNX Neutrino」、Microsoftの「Windows Embedded」、LinuxといったOSが動作するボードサポートパッケージ(BSP)、ミドルウェアやライブラリも提供する。加えて、83社のパートナー企業から、R-Car H2に対応するツールやミドルウェア、IPなどを展開する計画だ。パートナー企業数も「倍増させる方針」(吉田氏)である。
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