高効率、長寿命のAC-DCユニット型電源のバリエーションを拡充:TDK HWS-A/RWS-B
TDKは、汎用タイプのAC-DCユニット型電源として、従来製品より高効率化、長寿命化を実現したハイエンド製品シリーズの「HWS-A」と、ハイエンド製品と同等の電源基本性能を実現しながら付加機能を絞ったミドルエンド製品シリーズ「RWS-B」を開発した。
TDKは2013年7月11日、汎用タイプのAC-DCユニット型電源として、従来製品より高効率化、長寿命化を実現したハイエンド製品シリーズの「HWS-A」と、ハイエンド製品と同等の電源基本性能を実現しながら付加機能を絞ったミドルエンド製品シリーズ「RWS-B」を開発したと発表した。2013年9月17日からTDK-Lambdaブランドの製品として、TDKラムダが販売を行う。
ハイエンドシリーズ「HWS-A」
HWS-Aは、TDKラムダの汎用AC-DCユニット型電源の従来のフラッグシップ製品である「HWSシリーズ」(2008年発売)の後継製品という位置付けで、HWSシリーズよりもさらに変換効率、信頼性を高めた。スイッチングデバイスなど構成部品を見直すとともに、部品配置などを最適化した回路設計変更などにより、高効率化を図った。特に軽負荷時の変換効率を従来品よりも高め、20%程度の軽負荷時で最大4〜5%変換効率を改善させた。重負荷時も従来品比3%程度の高効率化を実現している。待機時の消費電力も従来品から抑制した点も特徴になっている。
変換効率を高め、部品配置の最適化などを進めた結果、ユニットとしての発熱も大きく抑え、熱ストレスで劣化する電解コンデンサなどの部品への影響も軽減。その結果、電解コンデンサ寿命を7年以上(従来品は5年以上)に延ばした。出力ディレーティング*)も向上し、従来品では40℃が限界だった最大出力時の周囲温度を50℃まで高められるようになった。
*):部品や機器の信頼性を高めるために、最大定格または最大出力よりも低減して用いること。電源の場合は、使用する周囲温度が高い場合に出力を常温時よりも小さくして使うことを指す。
HWS-Aシリーズには、最大出力電力15W、30W、50W、100W、150Wの5種がある。いずれも従来品のHWSと外形寸法、電気仕様、オプションラインアップなどが同一の完全互換製品となっていて、「HWSからの置き換えも容易」(TDK)としている。
新開発コンセプトのミドルエンド製品シリーズ「RWS-B」
RWS-Bシリーズは、新たな開発コンセプトを導入したミドルエンド製品の第1弾製品シリーズ。HWSシリーズなどハイエンド製品と同等以上の効率、信頼性といった電源基本性能を備えながら、並列運転、リモートオン/オフ機能といったハイエンド製品に搭載される一部の付加機能を省くことで、ハイエンド製品よりも手ごろな価格を実現する製品とした。
生産性を高めるため、部品点数を抑制する他、1つのビスで固定できる独自ケースを導入するなどの多数の工夫も導入している。「HWS/HWS-AシリーズとRWS-Bシリーズの2つの製品ライン構成を用意することで、多くのニーズや用途に柔軟に対応できるようになった」(TDK)とする。
RWS-Bシリーズは、最大出力電力100W、150W、300W、600Wの4種を展開し、AC200V入力/24V出力時の効率は87〜89%となっている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 医療や省エネモータ関連展示も充実! TECHNO-FRONTIER 2013の開催概要
2013年7月17〜19日の3日間、メカトロニクス/エレクトロニクス関連の最新の要素技術が一堂に集結する「TECHNO-FRONTIER 2013」が開催される。主催の一般社団法人日本能率協会(JMA)にTECHNO-FRONTIER 2013の見どころを聞いた。 - デジタル電源再入門
ユーザーにとって最良の電源とは一体、何なのだろうか――。新しい“スマートな電源”として広く知られるようになった「デジタル電源」。しかし、アナログ電源をしのぐまで普及していない。いま一度、デジタル電源の仕組み、利点を見直し、これからの電源を考えてほしい。 - AC-DC電源設計の秘訣
電源の設計において、機能/動作の仕様を満たすようにするのは当然のことである。しかし、満たすべき事柄はそれだけではない。EMC性能や安全性などに関する国際規格に従いつつ、さらに高効率化、小型化の要求にも応えなければならない。本稿では、電源の基本性能を犠牲にすることなく、そうした要求に応える方法を紹介する。