解決策を具体的にアドバイス、富士通のEMC設計ルールチェックシステム:TECHNO-FRONTIER 2013 ソフトウェア/設計環境
富士通アドバンストテクノロジが「TECHNO-FRONTIER 2013」(テクノフロンティア2013)で展示したEMC設計ルールチェックシステムは、基板の設計にEMCルール上の問題がないかどうかをチェックするだけでなく、「抵抗を追加」「ドライバを変更」といった具体的な対策をアドバイスしてくれる。「特に初心者に優しい機能」(同社)とする。
富士通アドバンストテクノロジの「SignalAdviser-EMC」は、高速伝送基板が、EMI(電磁干渉)/ESD(静電気放電)設計ルールに沿って設計されているかを検証するツールである。モバイル機器からサーバ機器まで、幅広く対応している。
基板レイアウトCADの設計データをそのまま取り込み、それを検証できるのは一般的だが、SignalAdviser-EMCの特徴は、設計ルールのチェック項目数が他社品に比べて多いことだという。さらに、検証した後に問題がある場合、「抵抗を追加してください」「駆動能力の弱いドライバに変更してください」といった対策が表示される。
SignalAdviser-EMCでは、チェック項目と対策をリポートとして出力できる。「ありそうでなかった機能。レイアウト設計と回路設計は、アウトソースなどで別々の人間が行うことも多い。対策の方法を選択したり、対策を施す箇所を決めたりするために、リポート形式になっていると便利だという声をよく聞く」(富士通アドバンストテクノロジ)。
SignalAdviser-EMCの他、伝送路のシグナル検証や、ノイズ対策のための配線パターンの検証を行う「SignalAdviser-SI」と、電源ノイズの解析を行う「SignalAdviser-PI」がある。
解析ツールや開発データをクラウドに載せる
富士通アドバンストテクノロジはこの他、「エンジニアリングクラウド」のデモも展示した。富士通のクラウド基盤と、仮想デスクトップ高速表示技術である「RVEC(レベック)」を使用して構築するプライベートクラウドだ。クラウド基盤は、自社のものを使用してもよい。
エンジニアリングクラウドでは、データセンター上に仮想デスクトップを設置し、その仮想デスクトップ上で3次元CAD/CAEなどの操作を行う。結果データのみが、RVECで圧縮、送信され、クライアント端末の画面に表示される仕組みだ。
富士通アドバンテストテクノロジの担当者は、「3次元CADの操作に伴う処理は仮想デスクトップの方で行うので、クライアント側に高スペックの端末を用意する必要がなくなる。また、設計データをサーバで一元管理することでデータの流出も防げるので、セキュリティも強化できる」と述べている。
関連キーワード
EMC | 設計 | EMI(電磁妨害) | 富士通 | TECHNO-FRONTIER 2013 | デスクトップ仮想化 | クラウドコンピューティング | CAE(Computer Aided Engineering) | ESD | ノイズ対策 | プライベートクラウド
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 初めは“ノイズ”じゃなかった
電子機器製品とは切っても切り離せないノイズ・EMCについて、電磁気の超基礎からEMC現場で実際に行われている対策まで、全4回の連載で分かりやすく解説します。 - 電磁界シミュレーションをEMC対策で生かす
電磁界シミュレーションは、電子機器の開発では必要不可欠なEMC対策において、大きな役割を果たすようになっている。しかし、効率的に電磁界シミュレーションを行うには、開発している機器の状態やシミュレーションの条件を理解した上で、適切なツールを選択する必要がある。本稿では、まず、電磁界シミュレーションを行う際に必要となる基礎知識をまとめた上で、各社解析ツールの動向や注意すべき事柄などを紹介する。 - リフローのプロセスを理解すれば、実装不良は防げる!
チップ部品の搭載数が増えるに従って、実装不良は増加する。だがチップ部品の実装プロセスを理解すれば、多くの不良は防ぐことができる。今回はSMDのチップコンデンサやSMTリレーの実装不具合例について説明する。