産業機器向けのSSD、容量は最大128Gバイト:TDK SHG4Aシリーズ
TDKのSSD「SHG4Aシリーズ」は、1.8インチHDDの半分のサイズを実現している。容量は最大128Gバイトで、読み出し速度は225Mバイト/秒。工作機械、通信基地局、緊急地震速報システムなど、産業機器の用途に向ける。
TDKは2013年11月5日、産業機器向けにSSD「SHG4Aシリーズ」を発表した。1.8インチHDDの半分のサイズとなる約54×40mmを実現し、SATA 3Gbpsに対応する同社のSSD「Half Slim Type」の新製品である。TDKは2010年3月に、Half Slim Typeとして「SHG2Aシリーズ」を発表していて、この後継機種となる。SHG4Aシリーズは、2013年11月より月産1万個の規模で生産を開始する。価格は要問い合わせ。
SHG4Aシリーズは、従来品に比べて容量と読み出し/書き込み速度が上がり、信頼性が向上している。
容量は、SHG2Aシリーズでは最大32Gバイトだったが、今回は最大128Gバイト(SLCで)までそろえた。SHG2Aシリーズは、43nm/32nm世代プロセスのNAND型フラッシュメモリを搭載しているが、SHG4Aシリーズでは、24nm/19nm世代プロセスのNANDフラッシュを採用した。これにより、容量の増加を図っている。
TDKが自社で開発した最新のフラッシュメモリコントローラIC「GBDriver RS4シリーズ」を搭載することで、読み出し/書き込み速度が向上した。具体的には、読み出し速度は、従来品の95Mバイト/秒から225Mバイト/秒に、書き込み速度は、従来品の40Mバイト/秒から95Mバイト/秒に向上している。なお、従来品には、GBDriver RS4シリーズの2世代前となる、「GBDriver RS2シリーズ」が搭載されていた。
SHG4Aシリーズには、24nm/19nmプロセスのNANDフラッシュが使われているが、一般にNANDフラッシュは、プロセスルールが微細化すると信頼性が低くなる。SHG4Aシリーズでは、このデメリットを解消するために、フラッシュメモリの書き換え寿命を伸ばすウェアレべリング機能や電源遮断耐性、ECC(Error Check and Correct)機能を強化。新たにリードリトライ機能やデータランダマイザ機能などを追加した。リードリトライ機能は、ECCエラーが発生した場合に、読み出し電位を変更して再読み出しを行うもの。データランダマイザは、フラッシュメモリに自動でデータパターンをランダムに配置して書き込み、ビットエラーが発生しにくいようにする機能である。特に、電源遮断耐性については、「PC向けの2.5インチSSDでは比較的、電源遮断対策を取りやすいが、Half Slim Typeくらい小型になると、遮断耐性を上げるのは難しい」(TDK)という。
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